第30話 叫び型目覚まし時計・改

side:kutinasi

 翌日、午前4時。永遠を除いた全員が永遠の部屋の前に集まっていた。


「これより、永遠へのいたずらを開始する。」


私はそう言って、静かにとある装置を取り出した。そう...


「にんじん専用の声量爆上げ装置よ!!!」

「組長声でかい!とわにぃ起きちゃうでしょ!」

「あっ...」


にんじんのツッコミにクチナシは口を抑えた。


 何故クチナシ達がこんなことをしているのか。理由は簡単だ。いくら気にするなと言っても絶対気にするバカ永遠を元気づける、という名目のイタズラを仕掛けるためだ。


「作戦はこうよ。まずるばあが気配を消して透明化、このドアを開けて永遠の部屋に侵入。その間に私が叫び型目覚まし時計・改をにんじんに装着する。そして、後はるばあが永遠を起こし、その瞬間ににんじんの叫びを浴びせる。ふふふ…完璧ね。」

「いくら気配消しても永遠だったら気づくんじゃないか?」

「…あの人外なら気づくだろうね。」

「いやとわにぃも一応人間…って…え?」

「とーあ、零愛、高音!来たんだね!」


 ここに永遠がいたならこう言っただろう。

『零愛、俺は人外じゃねぇ!確かにとーあの言う通り気配には気づくけども!そしてりめあ!一応人間ってなんだよこの野郎!!高音も何頷いてんだコラァ!!!!』


 というわけで彼らは作戦を実行することにした。失敗してもいいだろう、永遠が元気になれば。と意見が一致したためである。


「作戦開始!」


 クチナシの小声の合図と同時にるばあが気配遮断と透明化、永遠の部屋のドアを開ける。


「「「………。え?」」」


 扉の先に居たのは、ソファーに座る二人だった。…二人?



***


〜遡ること数時間前、真夜中〜


「ああ、急で申し訳ないが事件に無関係のカオス組メンバーも随時この学園に転校する事になった。って言っても、するかどうかは本人たちに決めてもらう。少なくとも二人、既に確定している。」

『急だなぁ…。まぁわかったよ。』

「腕時計だけ優先して頼みたい。多分もう少ししたら〇〇が到着する。」

『〇〇?もう来るのか、深夜だぞ…』

「結構楽しみにしてたからな。俺も人数が増えるのは嬉しい。」

『ま、わかった。』

「ん、頼んだ。」


***

〜ということで〜


「え?」

「「あ、おはよ。」」


扉を開けた先に居たのは、永遠と…


「えーちゃん?」

「きたよ〜!」


 さっきの作戦はどこへ行ったのか、彼女と仲の良かったメンバーは全員そっちへ。色々話したいだろうから、と永遠はそのメンバーを自分の部屋に残し、残りのメンバーと食堂へ移動した。


***


side:towa


「とりあえず…これでカオス学園に移動する予定のメンバーは一旦揃ったな。まだ増えるけど。」

「結構増えるんだな。」

「まぁ、カオス組そこそこ人数いるからな。」


とーあは俺が誘ってカオス組に入ったから、まだメンバーを把握しきれていない。でもこの人数を全員覚えるのは中々に大変だ。


「とりあえず飯食うか。食ったらとーあ、零愛、高音には設備紹介するから来てくれな。俺の部屋にいる奴連れて来る。」


 俺は自室に戻り、話していたメンバーを連れて食堂へ。食事を終えた三人とえーちゃんを連れ設備紹介を始めた。


「設備の話する前に一つだけ。ここ、ありえんくらい最先端の技術投影されてるから。例えばこれ」


そう言って俺は四人に腕時計を渡した。


「好きにいじってみてくれ。」

「「「「………。」」」」


 想像以上の反応。四人ともいじり始めて数秒で硬直してしまった。


「すげぇだろ?俺の能力も非現実的だけどそれも結構非現実的だよな。」

「やっぱ人外…」

「零愛?なんか言ったか?」

「なんでもない。」


聞こえてたけどまぁ見逃そう。気を取り直して設備紹介だ。


「んじゃあまず体育館行くぞ。」


 体育館では、床に収納される椅子と一瞬で綺麗になる壁の紹介をした。どうやったかって?簡単だ。壁に風穴開けただけだ。


「そのうちトーナメントでも開くかな…」

「やっぱこいつ戦闘狂だ…」

「零愛…なんか言ったか?」

「なんでもない。」


 つい数分前に同じやり取りをした気がするがまぁ良いだろう。そんな感じで設備を紹介し、終わった後は皆を体育館に集めてカオスドッジをした。予想外だったがそれで夜まで時間は潰れ、激しい運動(正しくは戦闘)を終えたメンバーは食事を楽しみ、すぐに眠りについた。




 

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