学園生活編Ⅱ
第28話 全ての記憶を
全てを見せ終えた俺は記憶の共有をやめ、改めて全員に向き直る。
「って訳なんだよ。だから俺らはこの学園に連れてこられた。」
俺の記憶共有は体が睡眠状態とほぼ同じ状態になる。まだ頭が回っていない奴が多かった。
「とりあえず…まぁ、わかった。でも…なんて言えばいいかわからない。自分の記憶は無いわけだし。」
「あー、そだな。戻すわ。でも、りめあとるばあは横になれ。1回死んでるから何が起きるか分からない。」
「ん、わかった。ベッド借りるね。」
「ああ。」
クチナシは微妙なリアクションだったが、記憶を戻した上でどんな反応をするかは分からない。俺以外の全員がりめあとるばあの死ぬ瞬間を見ていたはずだから。それでも…戻さなければ。
「行くぞ。」
そして俺は全員の記憶を戻した。
「やっぱ…そうなるよな。」
予想通り全員気を失った。少しすれば目覚めるだろうが、やはり気分が重くなる。少しすれば皆目覚めるはずだ。それまでに頭ん中まとめて話すことを考えておこう。
~30分後~
「んん…」
「起きたか。」
最初に起きたのはりめあだった。これは予想外だが、1度死んでいるのにも関わらず普通に目覚めてくれたのは素直に嬉しい。その後からは皆目覚め始め、10分後には全員が目覚めた。
「改めて…皆が生きてここに来られて良かった。りめあとるばあは…本当にごめんな。今こうして生きているとはいえ、一度は死なせてしまった。皆も、巻き込んだ挙句人を殺させ、仲間の死を目の前で見ることに……。俺のせいで、ごめん。」
「顔あげなよ、永遠。」
クチナシの声に、俺は恐る恐る顔を上げる。
「誰も責めなんてしない。確かに巻き込まれたのかもしれないけど、結局悪いのはあの研究者でしょ?永遠じゃない。責めるやついる?」
クチナシがそう聞いても誰も頷くことはしなかった。
「ほら。責任感じるのも悪いことでは無いけど、感じ過ぎもダメ。皆気にしてないから、いつも通り過ごそう。」
「ああ…わかった。ありがとう、皆。」
「気にすんなって。」
今までカオス組をまとめてきた組長。年上の俺ですらこうして…。やっぱ組長は組長なんだな。
「最後に。もうすぐ、まだ来てなかった高音、玲、斗亜がここに来る。ここでは皆がネットの名前だ。斗亜はとーあ、玲は漢字が変わるだけだが零愛になる。零に愛、だ。そして、俺らを見張っている大人の中には研究者の仲間が残っている可能性がある。また戦闘をする日が来るって覚悟だけ、しといてくれ。」
「「りょーかい。」」
「んじゃ、今日は解散。飯食って寝ろ。」
こうして全てを語り終えた俺は、たぬに連絡し、全員の記憶を戻したことを伝える。早過ぎないか、とは言われたが事情を説明してからは納得してくれた。記憶共有をしている間にすっかり夜になってしまったし、今日はもう休む。明日からは能力の特訓メインで勉強もしていくか。
とりあえず飯食おう。んで寝よう。
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