第12話
「ダンジョンアドバイザーというのはですね。お母様の予兆を感知するという能力を存分に生かすために新しく『作られた』ポジションなんです。」
お母さんってそんなポスト用意されるくらいのすごいスキル持ってたんだ。
「なるほどね。それで今回は僕たちの危機を感知して来てくれたんだ。」
「もちろんです。ただ、予兆は今回みたいにダンジョンに関する起きる問題や危機的状況、スーパーの特売の予兆の場合もあるって言ってましたよ。」
なんて融通の聞かないスキル…。それでも確かにすごいスキルなのは間違いないし、確かになにかとダンジョンができてからは両親が飛び回ってたから直接会うってよりは電話が多かった気がする。
「あぁ、それと自分に関わりの少ない人間ほど詳しく言い当てやすいそうですよ。」
「もしかしてお父さんも似たようなことやってるの?」
「いえ、お父様はお母様の護衛をしてますが、実際は護衛という名目でイチャイチャしているだけですね。」
「お父さん……。お父さんはヤンデレなお母さんにべったりだからね。」
以前見せてもらった時は僕と話しながら軽く百通の母さんからのメールを10秒とかからず返していた。もしかして瑠璃のさっきの狂乱はお母さん譲りかもなぁ。
僕はそう思ったが瑠璃が落ち込むのは目に見えているので言わないことにした。
「そうです。せっかく習得なさったのですし『設定』を試してみませんか?」
瑠璃は脱線した話に一旦の区切りがついたということで設定スキルの話題に戻した。
「いきなり強い技を作る自信ないんだけど…。」
そもそも僕にはあんまり発想力はないし、瑠璃みたいな一撃必殺の技を作りたいとは思うけど自分にできるかは別な気がする。
「大丈夫ですよ。どのみち初めは少ししか変更できないので強い技を作ろうと考えるのではなくて、便利なこんな技ほしいくらいの気持ちで設定してみてください。」
「ん〜パッと思いつかないなぁ。瑠璃は回復と雷以外にどんな技があるの?」
「そうですね。お兄様も使いやすいのですと移動系の技とかでしょう。」
「いいね便利そうだ。じゃあ移動系にしてみようかな。」
「では、設定を使用すると考えながら少し歩いてもらってもいいですか?」
「こうかな?」
僕は一度ベットから降りてその場から少し歩いてみせる。
「わっ」
急に目の前に半透明のプレートが表示されて驚いてしまう。
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『設定』
変更したい箇所を選択してください。
<<春は 前方に 少し 歩く>>
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「お兄様、よろしければなんて表示されたか伺ってもいいですか?」
「あぁ、『春は前方に少し歩く』って表示されたよ。」
僕は表示された内容を答えるが、瑠璃にそれはイメージが足りないと言われてしまった。
「コツとしてはお兄様は今、前に歩くということを無意識に考えながら歩いたと思いますが、もっと細かく考るといいですよ。」
だったら、僕は 前方に 音を出さずに 少し 歩く。そう考えて歩くと今度は春のいう通りに表示された内容が変わった。
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『設定』
変更したい箇所を選択してください。
<<春は 前方に 音を出さずに ゆっくりと 歩く>>
—ゆっくりと が選択されました。
変更内容を入力してください。
—早く に変更されました。
今後この設定は『1番』になります。残り9つ設定が可能です。
名称の変更は使用者が考えるだけで変更可能です。
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変に気を使ったせいか『少し』が『ゆっくりと』になっちゃったけど結構いいんじゃないかな。今回表示された選択肢を伝えると瑠璃にも上出来だと褒められた。ただ、まだ僕は二箇所までしか変更できないようでそれ以上選択ができなかった。
異空間収納もあるし、探索者としての幅が随分と広がった気がする。
「あれ?というか……。僕ってダブルスキルってやつなんだよね?」
「はいお兄様はすごいのですよ!」
「じゃあ、スキルの干渉ってできないのかな。なんか設定で異空間収納を強化する、みたなこと。」
顎が外れそうなレベルで口を開き、目を見張っている瑠璃は驚愕と言った感情がうかがえた。
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