十三話【潜入】
迷彩で隠れ上空から聞き耳を立てる惣一郎。
「転移出来ないこの大陸からどう考えても間に合う訳が無いんだ!」
「じゃ、別人なのか?」
「それが凄い魔法を放ったそうなんだ! 一撃で大型の蟲を12匹だぞ!」
「なんだって! それじゃ捕えた女神が偽物だったかも知れないって事か!」
「その可能性もある! なんせ裏切ったキッドが連れて来たんだ」
どうやら話がややこしくなって来てる様だ。
男達は別の男達と合流し、同じ方角を目指し始める。
このまま隠れて追えば、アジトに着きそうだ。
合流する度に、同じ話をする男達。
森を高速で移動する男達は、体の一部がやはり蟲であった。
傭兵のゲルドマみたいのが沢山いる様だ。
人と蟲のハイブリッド。
上位種より厄介である。
やがて前方に赤い岩山が見えて来る。
高さの無い山は森に隠され、上空からでは見落とすだろう。
男達はその岩山の岩の隙間、洞窟へと消えていった。
惣一郎は木の上に止まり、岩山に向けてサーチを飛ばす。
地下へと洞窟が伸びている。
ここがアジトの入り口の様だ。
周りを警戒し、大木の裏に種を置く。
ユグポンに入ると、ベンゾウ達が出迎える。
「奴らのアジトが分かった!」
「すぐに乗り込むか?」
っと、弁慶が身を乗り出す。
「向こうも、逃がしたスワロがビルナットの町に現れたと混乱している様だ! 今がチャンスかも知れない」
ツナマヨが刀を手に、
「狭い洞窟の中なら、多勢には有利!」
っと弁慶に続く。
「朝までにケリを付けようぜ旦那!」
ミコもガオも、やる気でいる。
ベンゾウも両手にミネアの作ったおにぎりを持って、モグモグしながら頷く。
スワロも杖を握りしめる。
「よし、行くぞ!」
乗り込むメンバーは、惣一郎にベンゾウとスワロ、弁慶にツナマヨと少数に絞り、出口を塞ぐ役をミコとガオ、クロとセシルとピノに任せる。
ドラミとゴゴ達は村で待機と、緊急時コールで連絡の取れる3チームに分かれる。
これにはピノが不満を口にするが、スワロが説得し、渋々了承する。
ビルナットの町にも繋がるユグポンで、ドラミが両方にアンテナを張り、何かあればフットワークの軽いミコ達が、直ぐにカバーに入れる様にである。
「相手は蟲と人とが混ざるハイブリッドだ! 上位種より厄介かも知れん。油断はするなよ!」
「「「 おお! 」」」
暗い森に出る惣一郎達。
全員首には、ドワーフ達が作った金属の糸を縫い込んだ布を巻き、乱戦を予想し暗い洞窟内でも見分けがつきやすい様に、白いローブを着ていた。
サーチを全開に、惣一郎とスワロとベンゾウが、先頭を歩き、洞窟の中に入っていく。
「ミコよ、後ろは任せたぞ!」
っと、ツナマヨと弁慶が惣一郎を追いかける。
「ああ、任せとけ!」
迷彩柄のポンチョを羽織るミコが、鉈を両手に入り口に溶け込んでいく。
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