二話【新天地でひとり】

目が覚めると惣一郎は、暗い大地に横たわっていた。


曇り空で真っ暗な夜、薄っすらと見える月のお陰で、地面に手を突き起き上がる。


左腕は無いが、傷は治っている様だ。


胸の穴も……


見通しも悪く、迂闊に動けない惣一郎は、朝を待つ為にテントを出そうとするが……


空じゃん!


オイオイ、アイテムボックスの中が、空じゃんかよ!


リセットすんなよ!


って事は所持金も…… 無い。


あれ、詰んだんじゃねコレ?


ふざけんなよ、今厄災に襲われたら死ぬってマジで!


どうすんだよ……


取り敢えず、サーチ……


良し、近くに反応はない!


魔法も問題ない様だ。




惣一郎が使える魔法は、


クリーン改(汚れを無くし除菌までする魔法)


キュア  (毒を治癒分解する)


サーチ  (魔力で範囲が決まる感知魔法)


テレキシス(無機物に印を結び自在に操る)


ウォーター(綺麗な水を生む)


ペリジン (武器や防具などの強度を上げる)


テレポ改 (ダンジョン産の瞬間移動魔法)


っと攻撃に乏しい、生活魔法だらけであった。




その辺の岩を使って、テレキシスで戦うしか無いかな……


ネットショップスキルは……


あっ所持金、こっちに入ってた!


危な〜 死ぬ所でした。


しかし結構入ってるな…… 


新天地でお金の心配が無いのは助かる!




魔法とは別に惣一郎には、異世界転移特典として貰ったスキルが3つある。


ネットショップスキル(元の世界のネットで買い物が出来るスキル)


アイテムボックススキル(別空間にアイテムを収納出来る、時間が止まった空間スキル)


言語理解スキル(まんま、元の世界の言葉に翻訳して通訳してくれるスキル)


ただし、知らない言葉は通訳出来ず、たまにバグる。


それでも異世界ではチート過ぎる!




惣一郎はサーチを頼りに近くの森を手探りで進み、迷彩柄のテントを購入して組み立て始める。


やはりサーチは使える。


杖が無いと漠然としか分からないが……


幻腕も問題なく使える様で、大きなテントもあっという間に出来上がる。


電池式のルームランプを買い、テント内でやっと明るさを取り戻すが、調光しないと眩し過ぎる!


ココでもやはり、地球産の物は効果が増す様だ。



ベッドに布団、姿見の鏡にベンチテーブル。


人並みの生活に、ホッとする惣一郎だが……


ひとりであった。


もう、ベンゾウも弁慶もいない……


淋しさに胸が押しつぶされそうになる。


惣一郎はその気持ちを誤魔化す様に、鉄球やククリ刀、タングステンの棒を購入し、武器を充実させていく。


また、杖も作らないとな……




姿見に写し出される自分の姿は20代半ばだろうか…… 若い!


ポーズを取り、若い自分に見惚れていると、ヤカンのお湯が沸く。


テーブルに並ぶインスタントラーメンのどんぶりは、いつもの癖で四つあった。


気持ちを切り替え無いと……






翌朝、クロも居ないのに、安心し切って寝ていた惣一郎がベッドから起きる。


よかった朝もちゃんと来る様だ。


「セシル、朝飯は……」


慣れないと……





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