第22話 湖の事件

ぼくは最近家のすぐ目の前の湖で釣りをすることにはまっている。

 最初はそのへんにある木の枝に糸をくくりつけ、その先に針のような形をした魔獣の牙をつけて釣りをしていた。コンは魚が好きなようで釣って帰ると喜んでくれる。


 正直魚を捕まえるだけなら得意の雷魔法で失神させてしまった方が早いのだが、それだとに少し火が入ってしまい味が落ちる。あと楽しくない。釣りは待つのも楽しい時間で、静かな湖に糸を垂らしてボーとしている時間はとても幸せである。


 最初に釣れた魚は、現世のブックバスのような魚で比較簡単に釣れた。色んな色がいるらしく、見ているだけも楽しい。名前ハテナフィッシュと言うそうだ。味もバラバラ、色もバラバラ。味が個体によって大きく変わるにで市場ではあまり人気がない魚だ。

 ぼくはこの魚を釣って、すり身にしてよくスープに入れている。一匹だと味がバラバラで扱いずらいが数匹まとめてすり身にすると大体同じ味になるので問題ない。


 今日も数匹、ハテナフィッシュを釣って帰ってきた。

「コン、ただいま」


「主様、おかえりなのじゃ。今日も釣りをしてきたのか?」


「うん、ほら今日も釣れたよ!」


「大量じゃな!今日も美味しいごはん期待しておるぞ!」


 自然と料理の担当はぼくになっていた。というか家事全般がぼくの仕事になっていた・・。


「ところで、主様よ。同じ魚ばかり釣ってあきぬか?」


「え、あの湖にはハテナフィッシュしかいないんじゃないの?」


「いや、多分ほかの魚もおると思うぞ。どんな釣り方をしておるんじゃ?」

自分が普段使っている道具をコンに見せた。


「なるほど。これでは同じような魚しか釣れんの。これを使ってみよ。」

とても大きな釣り針をコンから受け取った。」


「こんなに大きな針にかかる魚なんかいるのか?」


「いいから使ってみよ。きっと楽しいぞ」


 次の朝、ぼくはコンから貰った釣り針を湖に垂らしてみた。

 数分後とんでもなく大きな引きを感じた。


「これはすごい。今までに感じたことがないひきだ!!」

 思いっきり竿を引いた。一瞬糸がピーン張ったがすぐにたるんだ。

 いや、たるんだというよりも巨大な何かがこちらに向かって泳いでくる。

 よく見ると飛び切り大きいトビウオのようだ。


 「まずい、あれが飛んできたら家が壊れる。」

 焦ったぼくは最大出力で魔法を放った。

「サンダーボルト」

 一瞬で曇り、特大の雷が湖に落ちた。

 巨大トビウオの動きが止まった。まる焦げになってしまった。

 ほかの魚も魚も大量に浮いている。


「やってしまった・・・」

 ぼくが焦っているとコンが、いたずらが成功して嬉しそうな顔をしていた。

 さては、こうなるのが分かっていたな。


「コンさん、しばらくは晩御飯自分で作ってくださいね!」


「そんあ、あんまりじゃ」


「いたずらした罰です。」


 こうしてコンの晩御飯はしばらく焼き魚になりました。

 


 

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