鳥宮教授のトリビアな発明
あしわらん(葦原名香子)
発明品 No.1 寒い冬でもキーボード操作を快適に。ヒート〇ックブランケット for ラップトップ
「
「そりゃ冬ですからね」
「だってここ研究室だよ? 室内だよ? なんで寒いの?」
「俺に言わせるんですかソレ。昨日教授が実験失敗してエアコンショートさせちゃったからじゃないですか。まったく。冗談じゃないですよ。工事の人は今日の午後まで来られないそうです」
「ウッソ、それまでに死んじゃうよ。キーボードを打つ手が壊死しそうだもん」
「俺もです」
「なんかこーさ、パソコン使ってる時に指先だけでもいいから温められるようなアイテムってないの?」
「教授が実験をしなければいいのでは」
「そういうわけにいかないよ。僕の仕事だもん」
「じゃあちゃんと仕事してください」
「もお、冷たいなあ君は。このマウスみたいに冷たい」
「なんでそこで敢えてマウスなんですか」
「だって君、研究室の新歓でミッキーマウスのモノマネやったじゃない。『ボクミッキー。夢はパレードの電飾をLEDに変えること!』 あれ聞いた時はホント、世界一ちっさい夢を掲げるミッキーだと思ったね。名前聞いたら
「止めてください教授。今度その話したら焦がしますよ」
「やだ、何それコワい! 焦がすってナニを!?」
「とりあえずアインシュタインを真似して伸ばしてるその髭」
「イヤーーーッ それだけはヤメテーーーーーーッ!!」
「あ、
「ねえ宮良ちゃん聞いてよー。影長良君ってば僕の自慢の髭を燃やすって言うんだよ?」
「燃やすじゃなくて、焦がすです」
「どっちも灰になることに変わりないじゃん」
「ダメですよ教授。そうやって大雑把だから実験も失敗するんですよ?」
「
「この部屋のエアコンをショートさせたんです」
「チッ」
「チッって言った! チッて言ったよこの子ォ! 影長良君~~~」
「宮良先輩ナイスです」
「いいですか鳥宮教授。仮にも教授なんですから、趣味の発明で研究室の設備ぶっ壊すのマジで止めてください」
「え、趣味だったんですかアレ。だってさっき仕事って」
「僕、副業発明家。副業だって立派なお仕事だからね」
「そんなの自分ちでやってください」
「まったくです」
「しょうがないなぁ君たち。わかったよ。僕が悪かった。この極寒の中で、より一層風当たりが強くなって閃いた発明品、今すぐ作って来るからチョットここで待っていなさい」
「どこ行ったんですかね、教授」
「あっちにあるのは仮眠室だけよ。あんなこと言って、ふて寝でもするんじゃないかしら。後輩君、気にしないであなたは自分のやってることを続けるといいわ。さっきからキーボードを打つ手が止まってるわよ」
「どうしよう。凍えて指が動きません。もし宮良先輩がその手で僕の手を温めてくれたら」
「タダーーーーッ!」
「ちっ。教授、早かったですね。それは一体何ですか? 毛布で作ったランチョンマット? 上の方に横長の切り口がありますね」
「影長良君、君のノーパソ貸してくれる?」
「嫌ですよ。壊される」
「僕がそんなことするわけないじゃない」
「どの口が」
「わかった。じゃあいいよ? そのパソコンに、指一本触れないって約束するから」
「……それなら、まあ、いいですけど。マジで壊さないでくださいね。大事なデータ入ってんですから」
「ポ・ォ~ルノ?」
「違います。ボンジョルノみたいに言ってもセクハラです。その髭、焦がしますよ?」
「怒っちゃいやん」
「馬鹿言ってないで、そいつの使い方を説明してください」
「この毛布をノーパソの上から被せてぇ、穴の空いたところからスクリーンを出します。するとほ~ら。さあ、毛布の中に手を入れて、キーボードを打ってごらん」
「おお、あったかい」
「そう、これはヒート〇ック生地のブランケットを改良した発明品。名付けて『凍えるあなたの指先に~冬もあったかキーボード操作~ヒート〇ックブランケット for ラップトップ』!!」
「これはいいですね。素材が軽いからキーボードを打つ手を邪魔しないし、手指をすっぽり覆うのに画面を隠さない。折りたためて持ち運びも簡単。教授の発明も捨てた物じゃないですね。これはひと山当たるんじゃないですか?」
「ふっ。だから言ったろ? 副業は発明家だって」
「イマイチ決まらないセリフですね」
「鳥宮教授……?」
「はいっ!」
「そのブランケットはどこから?」
「宮良……ちゃん……?」
「その毛布は、、、一体、、、どこから……?」
「えっと、あっちの仮眠室からですけ……ど?」
「それは私の彼氏からのクリプレだっつーのォォォォ!!!!」
「ひぇーーーーーごめんなさああああい!!!!」 バタンッ!!
あーあ。教授、しばらく許してもらえないだろうな。宮良先輩の彼氏からのプレゼントを、こんなに小さく切っちゃって。
教授、ナイスです。
『凍えるあなたの指先に~冬もあったかキーボード操作~ヒート〇ックブランケット for ラップトップ』イラスト
https://kakuyomu.jp/users/ashiwaran/news/16817330653541636051
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます