声なき薄命ホタルは春夏秋冬を奏でたい

朝月〈アサツキ〉

笑っているつもりなの?

その瞳に映るのが

わたしじゃないってもう知っているから

目の前のあなたがこわくて

いつも隣を歩いて空見上げてしまう


春だっていうのに

ほら まるで雪みたいね


泣かないでアサツキ

あなたのその微笑みは

白く白くわたしを塗りつぶすの

いかないでアサツキ

青く消えてしまうでしょう

白く白くわたしを塗りつぶして



春に匂いなんてない

その散る花びらが

さよならじゃないって嘘知っているから

昨日居たあなたが見えない

隣の足音をつい探してしまう


舞い踊る花びら

ねぇ まるで涙みたいね


泣かないでアサツキ

あなたのその思い出が

白く白くわたしを塗りつぶすの

見えないよアサツキ

消えないって信じてた

青い空があなたを隠したの



側にいるっていったじゃない

歩いてくれると信じてた

朝も 夜も 今日も ずっと

儚くても消えない

白いアサツキのように



見えないよアサツキ

ここに居るって笑っても

歪んで滲んで溢れて止まらないの


泣かないよアサツキ

あなたのその微笑みが

ずっとずっと笑っていてほしいから

輝いてアサツキ

夜が来ても白く

わたしが抱きしめる最後のあなただから








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