歩幅

風はゆっくりと肩を撫でて通りすぎた

低いピンヒールの音と

すり足の僕の砂利音

影は伸びてあくびをし

太陽はじれて赤くなった


言葉は止まらず

笑い声も混じった僕ら

だけど、手もつながない

肩も触れない


そうだね、君の一歩くらい

ちょうど僕らの距離



髪の毛が細くなめらかなこと

背のわりに華奢で温かいこと

知ってる

雷で泣いたから

雨音に小さくふるえたから


買い物袋片手に

足音も重なった僕ら

だけど手はつながない

いまは肩もぶつからない


そうだね、僕の一歩分もない

片手くらいの距離



涙がでそうだ

怖いのは、ただすれ違うことだけ…



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