第25話 シローたちと合流、対策を考える
「あそこか!」
先ほど救助した男性ダンジョンバスターの言葉通り、シールドマシン直下の地面に緑色に輝く魔法陣が見える。
パアアアアアッ
「んっ?」
俺が魔法陣の元に駆け寄ると、魔法陣はひときわ強く輝きゆっくりと消滅していく。
中に転移したダンバスが、ダンジョンを狩り終えたらしい。
ヴィンッ
「ふおおおおお~、むっちゃしんどかったってば~!」
「レミリアさんにシローさん!?」
転移の光とともに現れたのは、連絡の取れなくなっていたシローさんたちだった。
「傷は浅いぞ、気を確かに!」
シローさんは両手にふたりのダンバスを抱えている。
「ユウ君!? 救援に来てくれたのか?」
「ええ。 事務棟で動けるダンバスが俺だけだったので。
向こうにあるCランクダンジョンに潜っていたダンバスは、俺が救助しました」
「なるほど、それなら今起きている現象は分かっているね?」
「はい、スキルポイントを吸い取る災害ダンジョンですね」
俺の言葉にシローさんが頷く。
「それなら話は早い。
……正直、私たちも限界だ」
シローさんは安堵のため息をつくと、疲れた表情を浮かべどさりと座り込む。
「あたしもさっきの戦闘でカラッケツ~、スキポバンクに繋がらないから補充も出来ないし」
よほど疲れているのか、地面に大の字で転がるレミリアさん。
ダンバスアプリがオフライン状態だと、手持ちのスキルポイントを使うしかない。
「もうちょっと引き出しとくべきだった~」
ふたりともアプリ内のスキルポイント残高はゼロになってしまったみたいだ。
「……ん? ユウ君はまだ動けるのかい?」
「はい、俺は多めにスキルポイントを持ってましたし、フェリナの……ノーツ財閥の非常回線を使えることになったので」
俺は自分のステータスをダンバスアプリに表示する。
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■個人情報
明石 優(アカシ ユウ)
年齢:25歳 性別:男
所属:F・ノーツギルド
ランク:C
スキルポイント残高:71,200
スキルポイント獲得倍率:850%
口座残高:2,910,800円
称号:ドラゴンスレイヤー
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「フェリナ・ノーツ……ノーツ家の娘さんか。
さすがに凄い隠し玉を持っているね」
「いつも助かっています」
「ふおお、ユウっちむっちゃスキポ持ってるじゃん……って、なにこれ!?」
レミリアさんが俺のスキルポイント獲得倍率を見て驚いている。
そうか、俺のユニークの事は話しておいた方がいいだろう。
そう判断した俺は、ユニーク獲得の経緯をシローさんたちに説明するのだった。
*** ***
「うそぉ……スキルポイント獲得倍率が変化するって、そんなことありうるワケ?」
俺の話を聞いたレミリアさんが、目を白黒させている。
「非常に事例は少ないが、スキルポイント獲得倍率が異常な値のダンジョンバスターは過去に存在した。だが……100倍以上とは驚いたな」
「Hランクダンジョン限定かもしれませんけどね。
まだ分からない事も多いので、リーサにリミットを掛けてもらってます」
「ふむ……」
ぴくり、と眉を動かすシロー。
「何か気になる事でもあるの、シロー?」
「いや、考え過ぎか」
「??」
俺の話に考えこんでしまったシローさん。
「何か分かったことがあれば、私の方からも連絡させてもらう」
「!! ありがとうございます!」
豊富な経験を持つシローさんの助力を得られるのならありがたい。
「さて、少し話し込んでしまったが……災害ダンジョンをどうするかだな」
フェリナに連絡し、減少したスキルポイントの補充と救出したダンジョンバスターの回収を依頼する。
シローさんの話では、SSランクの災害ダンジョンが出現したのはシールドマシンの先端部。
「近づくとスキポを一気に吸われちゃうんだよね。
モンスターを吐き出すタイプじゃないのは幸いだけど~」
「なら、どうやって”コア”を破壊するかですね」
「うむ……」
ボスモンスターがいないダンジョンを退治するには、ダンジョンのコアとなる部分(オーブであることが多い)を破壊する必要がある。
だが、今回の災害ダンジョンは近づいたダンバスのスキルポイントを吸い尽くしてしまうわけで……。
「ダンジョン内にあるオーブを破壊するには、スキルポイントを変換した武器が必要だ」
つまり、ダンジョンの最奥に到達するまでにスキルポイントが0になってしまうと破壊する事は出来ない。
フェリナにスキルポイントを補充してもらいながら進むという案はあるけど……。
「いや、スキルポイントが吸われる速度が分からない以上、危険だ」
シローさんの言う通りで、吸収スピードが補充スピードを上回った場合、最悪ダンジョン内に置き去りになる危険がある。
「なら、どうしたら…………ん?」
その時、頭の中に突拍子もないアイディアが閃いた。
俺には、自前で大量のスキルポイントを補充できる手段があるじゃないか。
「試してみたいプランがあるんですけど」
俺は自分のひらめきをシローさんたちに説明するのだった。
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