疎遠な幼馴染と高級ホテルに行くことになった件
Nano
第1話 突然のプレゼント
タケルは驚いた。父親が手渡したのは、高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」の無料宿泊券だった。しかも、一泊二日のペアプランで、朝食付きだ。
「これは何だよ、父さん。」
「誕生日プレゼントだよ。」
「俺の誕生日はまだ先だろ。」
「そうだけど、今日は鈴ちゃんの誕生日だろ。」
タケルは顔を赤くした。鈴は、幼馴染で隣の家に住む女子高校生だ。タケルは彼女のことが好きだったが、クラスは一緒なものの高校に入ってからはなかなか話せなくなってしまった。鈴は美少女で、学校では人気があった。タケルは自分とは釣り合わないと思って、遠巻きに見ているだけだった。
「鈴ちゃんの誕生日に関係ないだろ。」
「関係あるよ。お前は鈴ちゃんにこれを渡して、一緒にホテルに行くんだ。」
「は?」
「お前、鈴ちゃんのことが好きだろ。」
「な、なんでそんなこと知ってるんだよ。」
「父親の勘だよ。それに、鈴ちゃんの母さんからも聞いたよ。鈴ちゃんもお前のことが好きだって。」
「そ、そんなわけないだろ。」
「本当だよ。だから、今日はチャンスだ。鈴ちゃんに誘って、ホテルに行って、二人で仲良くなるんだ。」
「そんなことできるわけないだろ。」
「できるよ。お前はイケメンだし、成績もいいし、性格もいい。鈴ちゃんはお前のことを待ってるよ。」
「でも、でも…」
「言い訳はいい。さあ、行くぞ。鈴ちゃんの家に電話して、誘うんだ。」
タケルは父親に押し出されて、隣の家に向かった。ドキドキしながら、電話をかけた。
「あ、鈴?、タケルです。」
「タケルくん?」
鈴の声が聞こえた。タケルは緊張した。
「あの、今日は誕生日だよね。おめでとう。」
「ありがとう。」
「あの、実はね、父さんがホテルの宿泊券をくれたんだ。」
「え?」
「一緒に行かない?」
タケルは勇気を出して、言った。鈴はしばらく沈黙した。
「タケルくん、本気?」
「うん、本気。」
「でも、ホテルって…」
「大丈夫だよ。別に変なことはしないよ。ただ、友達として、楽しく過ご
ごしたいんだ。」
「そうなの?」
「うん、そう。」
「じゃあ、いいよ。」
鈴はやさしく言った。タケルは嬉しくなった。
「本当?ありがとう。じゃあ、今から行こう。」
「うん、行こう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます