【三題噺 #37】「皿」「剣」「サイン」(444文字)
骨董品屋にあったもの
やりたいことはなかったが親に行けと言われたので大学に行った。友達ができて そこそこ楽しかった。
ある日、約束した友達が急に用事ができて時間が空いたので、骨董品屋に入った。いつもの僕ならそんな店には入らない。でも引かれるように入ってしまった。
中に入ると剣を持った西洋甲冑や日本の鎧兜、壺や皿など何の統一性もなく置かれていた。本もあった。サイン本らしいが字が汚いのか達筆すぎるのか何と書いてあるのか読めない。自分も字が汚いとよく言われるのでちょっと親近感が湧いた。
物珍しく店内を見ていると一枚の皿が目についた。あやめ?の絵が描いてあった。
妙に気になってその皿を買ってしまった。小さい皿なのに三千円もした。
皿なんて必要ないし、欲しければ百均で買えるのに。
大学生時代のことを何十年も経って思い出した。
会社勤めをしながら時間を作りコツコツと書いた小説が新人賞を受賞した。そしてその後も何とか売れて、サインを書いた時だった。
あの日見たサイン本のサインと同じだった。
調べたがあの場所に骨董品屋などなかった。
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