本日の三題噺 2/20 『ねむり』、『エビフライ』、『コミュニティ』

 食べ物の恨みは……

 この世界は、大小様々なコミュニティで成り立っている。

 成人するまでは大コミュニティで過ごし、成人してからは一部の人以外は別のコミュニティで生活する。

 私のいるコミュニティは、二十一人の弱小コミュニティだ。   

 上から指示された八時間の労働奉仕以外は、自由時間となっている。

 他コミュニティの人と交流を持つこともできるので、上からの許可が下りれば出会った人の属するコミュニティに移動することもできる。

 私は他コミュニティの話を聞いても、移動したいとは思わなかった。なぜなら属するコミュニティルールに違反すれば上からペナルティが与えられるが、ウチのルールはそれほど厳しくない。報連相を徹底するが一番のルールだ。

 ただコミュニティがあまりにいい加減なルールを作ると、上からルールは認められないしペナルティが与えられる。

 ある日の夕食で騒動が起きた。食事当番がルールを破ったらしい。テーブルの上の料理を見ると、パンにライス、スープ、エビフライにサラダ。それにソースに醤油、 タルタルソース、マヨネーズにドレッシング三種類、特におかしなことはない。

 騒いでいた人たちに話を聞くと、タルタルソースに福神漬けが入っているのが原因だった。今まではごく一般的なタルタルソースだったが、労働奉仕の時、他コミュニティの人に聞いた食事当番の一人が独断で注文してしまったようだ。

 結局、良かれと思って勝手なことをした彼がペナルティを受けることになった。

 そんなことでと思わなくもないが、ルールはルールということになった。

 誰がどういうペナルティを与えるのかみんな興味を持ったが、関わりたくなくて早々に寝室へ行った。

 私は、福神漬けも悪くはなかったなどと思いながらねむりについた。

 翌日、ウチのコミュニティは二十人になっていた。


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