第10話
見て!お母さん!この色ならイメージカラーに近い!
んー、こっちかなあ。だってこう、もっとくすんだ、スモーキーな魅力が梅ちゃんにはあるもの。
そっかー。でもそれだと爪自体が暗くなるっていうか。印象と尊敬の間って感じ。
百円均一のマニキュア売り場、あるいはペディキュア売り場か。
娘と妻が好きなジャニーズか、はたまたマンガのキャラクターのイメージカラーについて話し込んでいる。声が大きい。それにどうしてキャラクターやアイドルを印象づける色合いを選ぼうとしているのか。
僕は後ろから愛しい二人を見守る。
二人の三回重ね塗りされた、宝石のような、絵画の一片のような爪を、シンナーの匂いを思い出しながら顔をしかめて見てしまう。最近は匂いがキツイものが減った。本屋の店員である娘は職業柄、トップコートが限界らしいが、妻は色んなショップのものを楽しんでいる。本当に愛おしい。
娘も。妻も。母の家に預けている息子も。
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