保健室の女先生~ほけせん~
漢字かけぬ
第1話 教え子の死
ー エピローグ ー
・・・・これから話す展開は熱血学園ドラマの影響を受けた教師の物語。
万人受けはしないだろうし、見ててスカッとしないな。
登場人物誰もが不幸で曇る展開。
怨嗟で形作った車輪のようにグルグル回り続ける終わりのない虚無。
主人公になれなかった私の末路でもあるか。
ー 世界観 ー
保健室の先生 (ムツキ、シア、メシア)
本作の主人公。あはははは、という高笑いが特徴。語り部も兼任。
緑髪で白衣、片眼鏡を装備する女性教師。
なんやかんやあって鬼百合家に居候することになった。
過去には熱血学園ドラマに憧れた教師だが・・・・・。
鬼百合レンジ
オレンジ髪のツンツンヘヤーで男生徒。現在17歳。
本来は熱血漢だが母の死により落ち込んでいる。
現在保健室登校のお世話になっている。
鬼百合ハボタン
機械でメイドさんなダウナー少女。17歳だが製造年月で言えばレンジより年下。
緑髪ロングでオレンジフレームの眼鏡、メイド服は長袖の黒白クラシカル。
朝寝ぼけている鬼百合レンジに対し婚姻届けを書かせ結婚した。
胸のサイズは現在の科学力の健闘空しくEカップに肥大化。
鬼百合シユ
享年39歳。
レンジとハボタンの遺伝子提供元、倫理観無視で言えば生みの親でもある。
学生時は朱色のツインテール。自転車登校ゆえ太ももがご立派。
レンジとハボタンには高等部学生時代
”いじめにより保健室登校に”
”いじめたグループの手によって保健室登校がシユの親にバレた”
”いじめグループは自主退学し、シユも普通の教室に戻った”と説明したが
実際は・・・・・。
胃袋空腹連合
シユの過去回想に出てくる不良達。全員16歳。
一人称が俺なリーダー。
わっちが一人称な支え役。
当て字で表現する3人目で構成された女ヤンキー軍団ってことで夜露死苦。
連合の由来はお腹が減るまで暴れて、いっぱいご飯を食べることから。
ー 本編 ー
私のかつての教え子であった鬼百合シユ君が天寿を全うした。
朝起きてこないと思ったらベットの上で笑ってさ。
40年も生きてないのにな、元々体が弱い子だったし。
私とレンジ君達への未練で無理くり我慢していても、願いが叶ったらあっさり。
親子の絆を作り、私との仲直りも。
私は彼らに真実を告げねばならない。
彼女の前だからと脚色した話の真相を。
・・・・シユ君。私は保健室の先生を辞めようと思う。
私は君ほどメンタルが強くない。
君と同じく虚勢を張ってただけなんだ。
ー シユ君の葬式会場 ー
シユ君の両親が来なかったため私が喪主を務めることとなった。
意思疎通ができないのは鬼百合家特有の病気だからな。
もっと正面切って話す機会があればよかったのにさ。
式が進みシユ君の息子であるレンジ君の焼香の番。
彼は納得できなかったんだろうな。
シユ君の写真に焼香を掴み投げつけた。
会場が騒然としたがそれぐらいの年頃ならよくあると誤魔化した。
レンジ君は泣きながら会場を走り去っていく。
此処にいる会場の全員がシユ君の死に納得していない。
誰もが思っている理不尽さを彼は代行した。
世間で言えば悪だが、我々にとっては救いだ。
皆世間体という仮面をつけ、あたりさわりのない言動を取る。
大人ってやつは何時でも仮面舞踏会を演じる生物だからな。
ー 謝肉祭公園 河原 夜 ー
レンジ君が何処に行ったかと思えば川に向かって石を投げこんでいた。
ベンチに座って投げても飛距離は出ないし、シユ君は帰ってこない。
「よっこいしょと、隣失礼するぞ。
最近は葬式の後すぐ骨を焼く時短スタイルだ。
あまり人が集まるのはよしとしない時代だからな」
「・・・・・」
「あの後葬儀屋に土下座して追加料金払っててんやわんやさ。
表には出してないけどこういうことよくあるってスタッフも言ってたし」
「・・・・・」
「らしくないな。と言っても無理はないか。
コレなんだか分かるかい?シユ君の映った卒業アルバム」
「はぁ。そんなもの見せてなんになるんだよ。
放っといてくれ。7日は忌引きで学園にでなくていいから。
その間に気持ちの整理してくればいいだろ」
「いずれ分かることだからな。このページが分かりやすいかな。
私がシユ君を担当した時代の写真」
「母さん点滴しながら学園に通ってたのか。
そしてガラの悪い3人組とシア先生」
「病弱なシユ君に不良3人、そして私。
これが当時の保健室だ」
「問題児を押し付けられただけじゃ?」
「皆可愛い教え子だ。それぞれ改心して今でも立派にやってるって連絡くるし」
「でも母さんは救えなかったんだろ?
悪いヤツがイイやつになっても、
最初から善人の母さんが救われないんじゃ意味なんてないだろ」
「・・・私は教師だからな。テストの点以外は平等に接するべきだと考える。
シユ君も私が手術して延命したからな」
「先生が?でも結果からみればヤブ医者だ」
「これでも別惑星でトップ医師の
その辺の医者では相手にならないほどと自負している」
「・・・・ありがとうございます」
「で、この不良達も被害者だ。救われないだろ?」
「被害者?」
「そう、葬式に出席しないくせに自身のメンツを気にするシユ君の両親のな」
ー 回想 シユ君の学園生活 真実編 ー
「おう、邪魔するぜ」扉ガラァ
放課後となり私とシユ君だけの保健室に来訪者。
ガラの悪いリーダー格と取り巻き2人の3人娘。たしか
「わっちら3人。胃袋空腹連合!!」
「そこんとこ
うわぁ、何年前かのヤンキーかよ!!!
「この修学旅行で買った木刀の錆にされたく無きゃ質問に答えなぁ」ぺろぉ
「買う人いたんだ!!!」マジかよ!!
「わっちも買ったやつ!!」じゃーん
「
1人ネット通販だ!!
「この病人だけ特別待遇で俺ら専用の教室がないとか納得いかねぇ。
よって
「あー、使ってない教室はまだあるし部活作ったらどうだ?」
「よし!サンキューな!!撤収!!」
「まてまてまて!ここはなんか戦う場面だろ!!!」
「暴力振るったらリーダーが退学になる!!テレビの見過ぎだ!!」
「
この子達根が素直なのに何で不良やってんだ?
「えー、不良更生させたいし。だって教師だから」キリッ
「ちょっ!こいつやばい!県の教育委員会に突き出さなきゃ!」
「君達の意見は通らないぞ?ちったぁコネがあるからね」
「リ、リ、リ、リ、リーダーヤバい。もう逃げよう!」
「あっ」じょばー
恐怖で漏らした!!!!
「・・・・・一時休戦だ。そこのリーダー!雑巾持って来い!大至急だ!
それと側近はタオルを水で濡らして!私は体操着用意するから」
「「イエッサー」」
しばらくして。
「
「まあひと段落ついたところで・・・・やるか!!」ファイティングポーズ
「やらねえよ!!!もう二度とこねぇよ!こんなとこ!!!」
「えー、教師っぽいことしたいし!!」
「白衣って病院イメージだろ?なんで戦闘狂なんだよ!!!」
「研究者のイメージもあるからな。負けたら解剖だ」
「ストップ!!!リーダーも熱血かぶれも!!それどころじゃない!!」
「ふぇ~」じょわー
「またかよ!!!!!!」
恐怖耐性なさすぎだ!!!着替え足りるかなー?
「コホン!暴力は振るわないがスポーツならどうだ?
青春の汗を流そうではないか!あはははは」
「もういろいろ流れてるが!!!」
「リーダー!やっつけましょう!学園の治安の為に!!!」
「君たちが乱す側だろ!!!!正義の味方になってどうする!!」
「喉乾いた」グビー
「水分補給は大事だけれど!また漏らすんじゃないか!!」
「いくら漏れてもまた拭けばいい」
「根本を解決しないとダメだから!!
分かった。リーダーと側近!
今日の夜18時、大型スーパー百合オン近くの市営体育館に来い!
お漏らし少女の手術を賭けてな!」
「治るのか?それよりこんな
「勝敗は関係なく私が手術をしよう。
万が一私が負けたら君たちのソックスやタイツを頂く。手術代としてな」
「悪趣味」
「変態」
「
「あははは。やる気になってくれて何よりだ」
「先生!シユも応援に行きます!!」
「シユ君が来るなら
私も若かった、全知全能かと思いこんでいた。
人の憎悪というか憎しみってやつに気が付いていなかった。
いや、生徒を信じてたが故に分かっていても心に閉まっていた。
私は熱血学園ドラマの主人公ではなく、
ただの大人だと世界が真実を突き付けるんだ。
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