くりかえし
荒川馳夫
たった一度
一度の失敗、たった一度の過ちで。
周りは白い目を向ける。
あまりにジロジロ見られたら、
心の足がガクガクしてくる。
一度の失敗、たった一度の過ちで。
アイツはバカだとみなされる。
周りでブツブツ言われたら、
心はザーザー泣きじゃくる。
一度の失敗、たった一度の過ちで。
自分の自身が奪われる。
心をチクチク刺されたら、
体がズンズン重くなる。
一度の失敗、たった一度の過ちで。
全てが敵に見えてくる。
ジロジロ、ブツブツ、チクチクされたら、
大きな人形が出来上がる。
「自分で決めるのは、とても怖い。誰かに決めてもらいたい」
そんな人形をつくりだす、心真っ黒の悪魔がはびこる。
過ちに厳しく、許し合えない大世界。
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