第4話 修行

プロットは、倒れて泡を吹いてる

シマジを開放してくれた。


目を覚ましても、お腹が緩い。

あの地味なキノコも毒だったみたいだが、

山草も毒だったみたい(笑)


お陰様で「毒耐性」が身に付いた。


プロットは毒草だと早くから気付いてたらしかったが、

『裏返る』のを見越して敢えて食べさせたようだった。  


こらー!人で実験すんな!

死ぬとこだったぞ。


「すまん、すまん」なんて言いながら、

ヤマゲータ地方全般で食べられる

『芋煮』をプロットは振る舞ってくれた。


里芋、ゴボウ、人参、水菜、旬の野菜と味噌で煮込む。


は〜っ。美味しい。


「師匠。ありがとうございます。」


ワハハ、よいよい。

なんて言いながら

椀をよそってくれる。


そして、懐かしそうに

「お前の父親も同じ毒草鍋を作ったんだよ。」と言い笑った。


そっかー。父さんも案外そそっかしいな。

血なのかもね。


「よし。毒耐性も付いたところで、

午後の稽古は『くるみ割り』をやる。」


えー。まだ身体は全開じゃないよ。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


プロットは胡桃を沢山持ってきた。

『これを割りなさい。指でだ』


え?指で?こんな固い胡桃を?


プロットは見本を見せてくれる。

バキッ!


す、すごっ!


「胡桃の気(オド)を感じるのだ。

そして、その気を断つイメージだ」

とプロットは教える。


分かるかっ。

幾らやっても指が痛くなるだけ。


「世界を消しなさい。目を閉じるんだ。

そうすれば、そなたは全てとなる。

その全てから胡桃を感じるのだ。

違いを知り、認めること。

これこそが極意だぞ。」

プロットは云う。


目を閉じる。世界を感じる。

私を消して全体を感じる。


これだ!胡桃の気を感じた。


あっチョーウォーッ!

『バキッ!』


胡桃は見事粉々に砕ける。


大事なのは胡桃を砕くことではない。

全体を知り、違いを知ることなのだ。


プロットは云う。


なんだかコツを掴んだ気がする。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


次は大きなかめから後ろの瓶へ、

水を交互に移動していく。


少しでも体勢を崩すと、瓶に落ちるか、

地面に落ちてしまう。


身体を瓶から落ちた場合は、

腕立て伏せ20回が待っている。


これが地味にキツイ。

キツイ奴らだ。

あ、ジジィ一人か。


そして最後は白い足跡を、

なぞりながら、型を作る。


プロットは竹にロープを付けた

オリジナルの器具をシマジの両腕に付ける。

 

「こう!」

「こう!」

「そして、こう!」


流れるような型をステップで教える。


もう背骨ガタガタだよ。


きつい修行はくる日も来る日も続く。


そんな時、風の噂で信じられない報を聞く。

「聖騎士が魔将軍に殺された」と。


次回へ続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る