第2話 初めての戦闘

目が覚めたら、父さんと母さんは

起きて食卓で待っていてくれた。


二人とも目が真っ赤だ。


父タクトは思った。


男子いつかは旅に出る。

そりゃあ、分かってるさ。


でも、早すぎるだろ。

まだ13歳だぞ。


確かに獣人の13歳は見た目は子供だけど、

獣化すると人並みに、

いや毛並みも大人と遜色ない。


可愛い子には旅をさせなきゃだけど、

分かってるけど辛い。


赤ん坊のあの頃や、小さい頃に遊んでやった

あの頃や、農業の手伝いを進んでくれた

あの頃を思い出すと涙が出る。


母さんと泣いたさ。昨日は。


でも、男が決めたことなんだからと

母さんを諭したよ。


「シマジ。これを持っていきなさい。

少ないだろうが旅の資金に使いなさい。」


シマジは嬉しかった。

旅なんか辞めて、ごめんよ!って

もう行かない!

今まで通りでいいよ!


って少し出かかった。

父さんと母さんの胸に腕に、

飛び込みたいのをグッと我慢した。


あ、危ない。決心が揺らぐとこだった。

首を振りながら気丈に答える。


だ、だめだ。こんなんじゃ。

よし!決心ついた!


「父さん、母さんありがとう。

じゃあ行ってくるね。」


旅立ちである。


最初は里から出て、近くの村

ハナカサに行こう。


そこを拠点にレベルを上げて、

隣のセンダー国ミャーギ地方を目指そう。


後ろ髪を引かれながら、シマジは旅立つ。

少年は少しずつ大人になろうとしていた。


ハナカサの村まで一日歩けば着く。

道中確か、里もあったと思う。


宿も取れるだろう。

一人旅か。気付いたら、

一人で旅なんかしたことないよね。


ここら辺にはアヤカシと言う魔物が出るんだ。

生まれて一回も

アヤカシは見たことはあるけど、

倒したことはない。


父さんがベロンヌ(スライムのような魔物)

を倒したことを見たことがあるけど……。


そんな事を言っていると引き寄せたのか、

ベロンヌが数匹、動物の遺骸に

群がってるのが見えた。


や、やば。


なるべく見つからないように、

そっと通ろう。


そーっと、そーっと。

パキッ!


やっべ!枝踏んだ!


案の定お約束。

ベロンヌはこちらに気づき、襲いかかる。


こうなったらやってやる!

ベロンヌで手こずるようじゃ先がしれる。


ショートソードを抜いてシマジは構える。


思いの外、ベロンヌの動きは遅い。

動きを読んで、ショートソードを刺す。


プシュ~ッと、変な音と

異様な臭いを振りまいてベロンヌは小さくなる。


倒したのか?!

いける!


次々にベロンヌを狩るシマジ。


数匹のベロンヌを倒したシマジは、

レベルが2になった。

若干シマジはステータスが上がった。


「この調子ならいけるかも」


やった!俺いけんじゃん!

ベロンヌ如き敵じゃねー!


敵を倒して油断してたのか?


バーチ(蜂のようなアヤカシ)が

後ろから数匹襲ってきた。


あ!やばい。背中を刺された。

ズキッと鈍い痛み。


ど、毒だ。マジか!


こうなったら切り札を出すしかない。

獣化だ。


痛みを堪えながら、シマジは叫ぶ。

「獣化!」


狼の本来の姿に姿を変える。

機敏さや、聴覚、嗅覚が圧倒的に上がる。

軌道を読み、一気に爪でバーチを両断する。


よし!いけるか!

残り数匹のところで目が虚ろになる。


毒の回りが早い。

再度バーチの鋭い針が襲う。


痛っ!!左手の平で真っ向から針を受け、

右手の爪でバーチの首を跳ねる。


あ、あと一匹。しかし、意識はそこで途絶えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る