前のエピソード――トパーズの逸話集

　１３８億２０００万年前のはるか昔、遥か（はるか）なる宇宙の彼方（かなた）に、星々の精霊（せいれい）が宿る「シンギュラリティ・ポイント」と呼ばれる秘密の場所がありました。その場所で、11月の誕生石トパーズが宇宙の力と智慧（ちえ）を得て生まれたのです。

　トパーズは異なる波動（はどう）を感知し、それを人々に伝える役割を果たす存在であり、聖女たちはその導きを受けてトパーズの力を「大賢者の石」と称える（たたえる）ようになりました。

　ある年の11月、小さな村にエリナという少女が生まれ、彼女は村の皆から誕生石としてトパーズを贈られました。

　村の聖女はエリナに、大賢者の石トパーズが宇宙の言葉を教え、引き寄せの法則を感知する手助けとなるだろうと説明しました。

　エリナはトパーズを手にし、夜空を見上げながら瞑想（めいそう）に耽り（ふけり）ます。すると、宇宙の波動が彼女に語りかけるように感じられました。夢の中で、星々の精霊が彼女に様々な智慧や知識を授け、引き寄せの法則を教えました。エリナは自らの選択（せんたく）に自信を持つようになり、人生の中で正しい方向へ進む力を手に入れたのです。

　村の人々もエリナの変化に気付き、聖女の言葉が真実であることを知るのです。大賢者の石トパーズが彼女に与えた自信は、村全体に広がり、人々は夢や目標に向かって前進する勇気と智慧を見出しました。

　とある日、村は厳しい試練に直面し、村の未来が暗雲に包まれます。

　しかし、エリナはトパーズと共に祈りました。すると、彼女の手には普段よりも強い輝きが灯り、まるで宇宙の神秘な力が嵐を鎮める（しずめる）ような奇跡が起こったとされています。ただそれは、魔法のような力ではなく、それは自分の選択を信じる心、そして信じた道を力強く歩むことで、どんな困難も乗り越えられると言うことをトパーズが教えてくれたからです。

　その「人の力」を持って村の人々は嵐を乗り越えたのです。

　中世の裁判官や王族もまた、トパーズがもたらす判断と自信の力に惹かれ、その石を宝飾品として身につけることで正しい判断を下す力を手に入れたと伝えられています。　　　

　大賢者の石トパーズの力は時を超え、自己の存在を確立し、夢を追い求める人々に勇気を与え続けました。それはまるで宇宙の叡智（えいち）が誕生石に込められ、人々に幸福と希望をもたらしていたかのようでした。

　１１月の誕生石トパーズは人間の持つ「選択、判別、そしてそれを信じる力」を最大限に引き出して人々を幸福へと導く神秘的な宝石なのです。

　その後エリナも法曹（ほうそう）の道に進み、国で４人目となる女性の最高裁判事（スプリームジャスティス）となったことはまた別の物語で。