サードニクス秘話 美の女神アフロディーテのまどろみ
作者 武緒さつき♀
美の女神アフロディーテの最近のマイブームはジェルネイルだった。
いつものお気に入りの川辺で始める。
お付きのキューピットは大忙し。
「おい、アフロディーテ様がジェルネイルを始められる、急いで精霊たちを集めるんだ。
ヒゲを生やしたキューピット長はテキパキと指示を出す。
「イエッサー」
部下のキューピットたちは精霊集めに飛び回る。
必要な精霊は
1. ネイルブラシ(平筆タイプ)の精霊
2. クリアジェルの精霊
3. カラージェルの精霊
4. LEDライト・UVライトの精霊(太陽光の精霊が代行)
5. ネイルファイル(爪やすり)の精霊
6. ジェルリムーバー・アルミホイルの精霊
7. コットンまたはワイプスポンジの精霊
8. エタノールの精霊(酒神バッカスから借用)
9. ウッドスティックの精霊
10. キューティクルオイルの精霊
10柱の精霊が集められた。
キューピットたちはそれからも大忙し。
アフロディーテ様が気に入らないとやり直し、
太陽光の精霊がジリジリやる頃にはアフロディーテの傍らにはキューピットの疲れ果てた躯体がゴロゴロすることとなる。
今日のジェルネイルはアフロディーテ様も気に入ったようだ。
何層にも塗り重ね、キラキラする貴石の粉末も入ってカメオのような縞模様が素敵。
何時間もニヤニヤしながらネイルを眺めたあと、女神アフロディーテは川辺でお昼寝を始めた。
キューピットとは本来みないたずらっ子である。
「おい、アフロディーテ様寝ちゃったな。」
「うん、寝ちゃったね。」
「アフロディーテ様のネイル、キューピットの矢の練習の的にちょうど良くないか?」
「うん、ちょうどいいね。」
「今日はハードジェルネイルだし、頑丈だから的にしても大丈夫だよね。」
「うん、大丈夫だよね。」
そういって新入りキューピットたちは飛びまわりながらアフロディーテのジェルネイル目掛けてピンピン矢を打ち始めた。
キューピット長もその様子を見ていたが、いつものキューピットのたわいないイタズラと大目に見ていた。
それを見ていた先輩キューピットが
「おい、お前らまだまだ未熟だな、俺たちが手本を見せてやろう。」
そういってベテランの10柱のベテランキューピットが一斉に女神アフロディーテのハードジェルネイルに矢を放った。
刃牙!
すごい轟音と共にアフロディーテの10指のジェルネイルを全て破壊してしまった。
可愛いキューピー顔のキューピット長が青いキューピット像に変化したのは想像に難くないところ。
砕けたジェルネイルは川に沈み、そして宝石サードニクスとなったのです。
(美の女神アフロディーテの爪をキューピットが矢で撃って川に落ちたものがサードニクス縞瑪瑙になったという実際の神話を元にしています。)
そのサードニクスは世界各地に散らばり、日本では出雲大社の御神体として祀られることになりました。(諸説あります。)
その後、青く固まったキューピット長を助けるため、キューピットと精霊たちは美の女神アフロディーテのジェルネイルの復元に飛び回ったことは言うまでもありません。
「あら、ネイルの柄、こんなでしたっけ?」
目を覚ましたアフロディーテの問いに。
「うんうん全くその通りでございますよ、アフロディーテ様!」
キューピット長の言葉に、
周囲のキューピットや精霊たちも一糸乱れぬ激しい顔の上下運動を行う。
あとはキューピットたちの無事を読者の皆さんと一緒に女神アフロディーテ様に祈ろうと思います。w
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