【創作に役立てて!】この国はたぶん「サタン」の意味すら分かってないと思う

らんた

第一話 この国はたぶん「サタン」の意味すら分かってないと思う

サタンって魔王とか思ってます?


これエネミーつまり「敵」って意味ですよ。


神の敵だと思います?


違います。人間の敵です。旧約みりゃ分かりますヨブ記ではサタンはヨブを神と結託していじめてます。それでヨブの信仰心を試しています。全知全能の主は悪魔なんて敵じゃないのです。むしろ「パシリ」です。


「サタンが起こった」という文章はだいたい病魔か敵国の軍勢が攻めてきたときです。神の意志によって悪魔が起こったという意味になるんです。


ルシファーとは明けの星の明星を意味しますがこれはネブガドネザル2世の事で星が落ちるというのはネブガドネザル2世つまりバビロン勢力の衰退を願ったというか呪ったのです。当時のユダヤ人が。当時のバビロンは金星信仰だったということもあるので。


『黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった』(旧約聖書「イザヤ書」14:12)とはそういう意味です。


ところが新約の時代になると文字通りの解釈をしてしまい、堕天という意味に解釈してしまいサタン=ルシファー説になってしまったのです。しかも大天使ルシファーの反逆の話に変わってます。


私はこの国がカルト宗教まみれになったのは宗教の常識というか人文知が足りないからだと思ってます。だって、こういう意味だよと教えてくれる神父や牧師がほとんどいないから。


またイエス=キリストに「この石をパンに変えて見よ」とサタンが言ったのは「お前が立ちあがって植民地となってるこのユダヤとユダヤ民族を救ってくれ」という意味です。キリストとは救世主という意味です。キリストとは1人じゃないのです。実は旧約にも「キリスト」が居るのです。あくまでキリスト教徒にとってキリストとはイエスキリストのみというのであってユダヤ人が聞いたら激怒する案件です。


「この石をパンに変えて見よ」と言ってイエスを誘惑したサタンの正体って誰なんでしょうね。答えはエッセネ派とも言われています。クムラン教団とも言いますよね。そういう過激派が居たのです。イエスは暴力で世を変えることを是としてないから「人はパンのみに生きるにあらず」と否定したのです。イエスにとっての敵=サタンとはこういう俗物を言ったのです。


パンを求めたということはそれだけユダヤの民が飢えてた証拠でしょうね。「人はパンのみに生きるにあらず」とは「人間は労働を目的として生まれて来たのではない」という意味の方が現在は強いのですが当時はそれ以上に切実な言葉でした。搾取されてる分のパンも返せ、飢えてる民に返せという意味です。その言葉をイエスは否定したのです。


石って何んでしょう。石は軍ではない庶民にとって武器になります。石つぶてと言って。聖書って難しいですよね。比喩ばかりで誤解を招く表現ばかりです。


ちなみに新約でも


『もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内わで分れ争うことになる。それでは、その国はどうして立ち行けよう。』(マタイによる福音書12章26節(口語訳))


なぜこんな事言ったのでしょう。答えは簡単です。サタンとは刑事告発の側に立つからです。逆に言うとクソみたいな罪は人を不起訴処分にも出来るのです。検察官って怖いでしょ?一緒です。でも検察官が居ない独裁国家なんてあってはいけないし成り立たないとも言ってます。ちなみに告発しあって自滅する内戦国も成立しえない。


当時(古代ローマ)の悪魔はまだ従来の天使を黒く塗っただけ、あるいは悪魔の姿がほとんど見えないのです。蝙蝠の翼をもち羊の角を頂く「デビル」は実は北欧や英国から生まれたといいます。

南欧では光が強すぎてそのような空想が当時の人々では出来なったのです。寒くて暗い北国でないとあのような空想動物は生み出せなかったのです。


そもそも新約を執筆しての時代はサタン=古代ローマ帝国ですのでわざわざサタンの絵を作っても意味がなかったというものもあります。そう、ローマ帝国はキリスト教徒を迫害してたんですよね。


【ではなぜ魔王=サタンとなったのか?】


悪魔の王=サタンになったのはずばりローマ皇帝のせいでしょう。そして全知全能の神の使いから徐々に神に反逆するキャラに変わっていったのです。


でもそれだけでしょうか。違います。すでに旧約の時代からサタン=魔王に変わっていったのです。バビロン捕囚時にユダヤ人は「最後の審判」や「光と闇の戦い」・「地獄」・「天国」というゾロアスター教の思想に触れて帰りそしてパクったのです。


つまり元々のユダヤ人は地獄という発想も終末思想もなかったのです。あくまでこの世の終わりではなくイザヤ書はユダヤ民族の国の滅亡の話であって「続く」なんです。そうです。救世主が現れてユダヤの民を救うという願望が生まれたのです。だからイスラエルは約束の地だしそれはイスラエル国樹立として戦後に約2000年以上の時を経て成就します。


サタンは人間と敵対する神のみ使い、人間を告発する神のみ使い、人間を罰する神のみ使いから徐々に「神と敵対する神のみ使い」になったのです。さすがに旧約の時代は聖書そのものは変えられませんでしたが新約になるとヨハネの黙示録の時に明確に神の敵側として登場します。


『時に主は大祭司ヨシュアが、主の使の前に立ち、サタンがその右に立って、これを訴えているのをわたしに示された。主はサタンに言われた、「サタンよ、主はあなたを責めるのだ。すなわちエルサレムを選んだ主はあなたを責めるのだ。これは火の中から取り出した燃えさしではないか」』(ゼカリヤ書3章1節と2節(口語訳))


この文章でもって「ほら、旧約の時代でも神とサタンは対立してるじゃないか」というのは間違いです。検察官が裁判を起こしても負ける時があるのです。「サタンがその右に立って」という部分がポイントです。検察官って国の側ですよ。つまり「神」の側なのです。右の側に立つとは神の側に立つということです。政権与党は右に議席を取るという意味と一緒です。


またサタンが7つの頭を頂く竜として化身して登場するのも西洋でもドラゴンが王権の象徴だからです。同時にローマ帝国の軍旗が「ドラコ」という吹き流しの旗をよく持っているからです。つまりドラゴン=ローマ帝国なのです。7つの頭は当時の7人の主要ローマ皇帝を現しており何もネロ皇帝だけが「悪」ではないという証拠です。


西ローマ帝国が滅びると人々はサタンの意味を忘れ霊的な存在として怯え、とうとう悪魔の王という今と同じ姿になります。また普通の人に対し「サタンに取りつかれている」とか非常にサタンが安っぽい存在になります。


よって全知全能の神のパワーが薄れたということにもなるんです。


サタンは異端のボゴミール派ではサタナエルでルシファーとサタンを足して2で割っています。


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紙面余っちゃった。


余談になるけど「中世」って本当に西ローマ帝国滅亡の年をもって開始するでいいのかな?


これって西欧中心主義史観だと思う。


だって、東ローマ帝国は盛り返して古代ローマの領土の3分2まで取り返すんですよ。まだこの時代は地中海文明が生きてますよ。


本当の中世の始まりってイスラム帝国による進撃でイベリア半島と北アフリカとイスラエルを取られるんです。この時代をもって本当の意味での「暗黒の中世」が始まるんです。ヨーロッパという地域が最貧国、文明の後進国に完全に落ちた瞬間です。


ここから本当の中世の始まりとしていいんじゃないんでしょうか。


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