第117話 この世界とゲーム

本当はこの世界に来たあの日に聞きたかった事だ。


「そういえば聞きたかったんだけど、みんなってゲームのレベルってどんな?」


この世界に来たあの日、あそこが“死霊の森”でなければ、もっとゆっくりあそこでそういった話をしていたはずだった。



「ステータスにレベルは出ていないね。と言っても僕は初めてすぐに、本当にすぐにやめたので、レベル1だったと思うよ。たぶん」


山さんは自分のステータスを見ているようだった。


「始めたらファンタジー系のゲームだったからすぐやめて、サバゲーにいったんだよ。あ、オンラインのサバイバルゲームね、リアルじゃないよ?サバゲならレベル結構高かったのに何ですぐやめた方のゲームのキャラなんだろう」


「それ不思議ですよね。実は私もファンタジー系格闘技だったんで結局その後にホラーアクション系へ移動したんですよ」


「ナオリン、怖い系、大丈夫なんだ?」


「好きですね。私もそっちは結構高い戦闘力だったんですけど、この世界にきてステータスに出てたのがやめた格闘技の方のだったんでガッカリです。あれ、たぶん、レベル5にもいかずにやめたから」


「自分はダークエルフでレベル30です。カオさんと同じゲームです」


キックもボソリと話し出す。


「うん。キックと俺がやってたのはラインエイジファンタジーと言って、20年前のゲーム開始時は結構人気のゲームだったんだよ。ウィザードはレベル上げがキツかったなー。結局10年くらい前あたりからやらなくなった。タブレットとかスマホゲームが流行り出しただろ?PC開くの面倒くさくなってさー」


「ああじゃあ自分と入れ違いくらいかな?自分は10年くらい前にパソコンで始めて、最初は面白かったんですけど、DEのレベル30のクエストで躓いて、で、結局ゲーム機の方にスライドしました」


「ああ!種族ごとのクエスト!あれ レベル15、30、45、60…と15ごとにあったな。DEキャラは持ってないからやった事ないけど、DEの30クエって大変なんだ?」


「いや、まぁ大変は大変でしたけど…。30クエがクリア出来ないってクランの仲間に相談したら、ウィズより全然ラクって鼻で笑われて…それで、やめました…」


「うわっ 不親切なクラン員だな、そいつ」


「いえ、俺が、コミュ症だから…」


「カオくんはレベルいくつだったの?」


「ウィザードが54…あれ?56までいったっけか? で、エルフが52、ドラゴンナイトが51だったかな?」


「すごいな、キャラ3つもやってたんですか?」


「ん〜 ウィズで行き詰まってエルフにいって、エルフ飽きてDKNいったって感じ。10年やってたからそれなりなとこまではいったけど、50超えるとレベル上げに必要な経験値が膨大な数字になるから、だいたいそこで離れる人が多かったみたいだな」


「でも羨ましいよなぁ。俺もPCゲームやっとけばよかった」


「ですねぇ、スマホゲームなら結構やってるんですけどね。悔しいなぁ…ステータスの職業がブランクだもんなぁ。あ、今は探索者出てますが」



ヨッシーとユースケはとても悔しそうだった。

が、ステータスを見ていたユースケが何かに気がつき声を上げた。

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