medu4映像講義の感想:②特講(必修、禁忌、裏技・テクニック)
medu4には各科目の通常講義(あたらしい○○シリーズ)の他に科目を横断するテーマごとに特化した講義である「特講」もあり、いわゆる点滴である「輸液」、細菌感染症に対して処方される「抗菌薬」といったテーマについては他の国試予備校も専用の講座を用意しています。
medu4には様々なテーマの特講があり私自身は2022年度版を一括購入しましたが、過去問演習に追われて結局受講できたのは「必修特講」「禁忌特講」「裏技・テクニック特講」だけでした。この3種類の講座について受講した率直な感想を書いていきます。
①必修特講
医師国家試験は問題の形式として疾患・病態の知識をストレートに問う「一般問題」と症例を示しつつ問題を提示される「臨床問題」の2種類に分かれ、問題の分類としては病態の総論を扱った「総論問題」と個別の疾患(病態の各論)を扱った「各論問題」、そして医師として最低限必要な知識を問う「必修問題」の3種類に分かれます。
2種類×3種類の掛け算で国試の全ての問題は「各論・一般」「各論・臨床」「必修・一般」「必修・臨床」「総論・一般」「総論・臨床」の6種類に分類できることになりますが、医学生を最も悩ませるのは病態の総論の理解が重要となる「総論」でも個別の疾患について細かい知識が問われる「各論」でもなく基本的な問題で占められるはずの「必修」です。
このエッセイの冒頭で少し述べましたが、2022年時点での医師国家試験では全400問中100問を占める必修問題で200点中160点以上(80%以上)を得点できなければその時点で問答無用で不合格となります。
さらに話をややこしくしているのが必修問題の配点で、国試の問題は通常は1問1点であるにも関わらず必修問題は100問中50問を占める「必修・一般」は1問1点、残りの50問を占める「必修・臨床」は1問3点となっています。すなわち必修問題の中で症例が提示される問題は1問3点ということになります。
先述の通り必修問題で失点が許されるのは200点中40点分のみですので、1問3点の「必修・臨床」を50問中14問以上(3×14=42>40)間違えればその時点で国試不合格が確定します。出題内容自体は基本的とはいえ全400問もある試験でたった14問間違えただけで即座に不合格というシステムは非常にプレッシャーがかかるもので、医学生は国試当日まで必修落ち(=総論・各論は合格点に達しているのに必修問題で80%を切ってしまい不合格になること)に怯えることとなります。
前置きがやや冗長になりましたがmedu4の必修特講は必修問題の対策に特化した講座で、特講の中でも「禁忌」と並んで人気が高い講座です。必修問題では病態・疾患についての基本的事項の出題のみならず患者や医療関係者とのコミュニケーション、聴診・触診など基本的な診察で行われる手技といった必修問題特有の事項も出題されますが、この講座ではそういった事項も余す所なく解説されます。
私自身は元々必修問題が得意だったこともあってこの講座については既に知っている内容が大半を占めましたが、一部には抜け落ちていた知識もあり必修問題が苦手な医学生にとっては特有の出題内容を一から教えてくれる講座になりますので万人にオススメできる講座です。
②禁忌特講
医師国家試験には必修問題に匹敵する最大の落とし穴として「禁忌選択肢」がありこれは要するに医師として絶対に選んではいけない選択肢、具体的には実行すると何の有益性もないばかりか患者が即死したり臓器の機能を失ったりするレベルの選択肢です。「医師として選んではいけない」という判断には当然医学的な理由以外も含まれますので、そもそも法律に違反している選択肢も禁忌選択肢に該当すると推測されています。
第116回国試までは禁忌選択肢を4問以上選択すると不合格となりましたが、私が受験した第117回国試では3問以上選択した場合に不合格となる(=条件が厳しくなった)ことが「合格者発表時に」初めて公表され医学生・医者界隈が大騒ぎになりました。
国試が終了して厚生労働省が模範解答を発表してもどの問題に禁忌選択肢があったかは対外的には一切公表されず、禁忌落ちのリスクを恐れて自信のない選択肢は(おそらく正解と思われても)選ばない戦略を取った結果純粋に点が足りずに不合格になる受験生といった悲惨な事例も報告されています。
medu4の禁忌特講はこのような禁忌問題について過去に出題された禁忌選択肢のある問題を提示しつつ解説していくもので、この講座を真面目に受講しておけば少なくともこれまで国試に登場した禁忌選択肢は選ばずに済むようになります。
ここまで読んで「真面目に各科目を勉強しておけば普通の受験生は禁忌選択肢など選ばないのでは」と思う読者もいらっしゃると思いますが国試の出題範囲は再三繰り返すように膨大で、全範囲を網羅したつもりであっても一部の分野の基礎知識が抜け落ちてしまうことはしばしばあります。
私自身は念のため見ておこうというぐらいの気持ちで禁忌特講を見始めたものの知らなかった禁忌選択肢が2つか3つあり、先述の通り私の受験した国試から禁忌落ちの基準が3問以上になったためもし禁忌特講を受けていなければ禁忌落ちしていた可能性もゼロではありません。どれだけ学力に自身のある受験生でもmedu4特講の中でこの禁忌特講だけは必ず受講しておくことをオススメします。(同様の特別講座は他の予備校にもありますのでmedu4以外でも全く問題ありません)
③裏技・テクニック特講
医学の知識を教えるのではなく「問題文から選択肢を絞り込む方法」「選択肢同士の比較で正しい選択肢を検討するテクニック」「常識で考えれば除外できる選択肢の見分け方」といった全問客観式のペーパーテスト(マークシート式)という医師国家試験の性質を逆手に取った裏技・テクニックを教えてくれる変わった講座です。これに関しては例年受験生から大好評を博しており、私自身受講していて納得のいく裏技・テクニックばかりだと感じましたが感想は「全部知っている」に尽きました。
私自身は大学受験の頃から理系科目よりも文系科目が得意かつ記述式よりもマーク式の試験が得意で、母校である私立医大にもセンター試験利用入試で滑り込んだのでマークシート式特有のテクニックは独学で身につけていました。国語力があれば選択肢を絞り込めるということも自然と理解していたので裏技・テクニック特講については受講しなくてもあまり変わらなかったとは思います。
その一方で一般的な医学生は数学や物理が大得意で国語と英語は苦手、生物の知識はゼロの人が多く(これはこれで異常事態だと思いますが)、私立専願でそもそもセンター試験を受験しておらずマークシート式のテクニックを身に着けようがなかった人も一定数存在します。このような医学生にとってはmedu4の裏技・テクニック特講は目から鱗が落ちる講座になるはずで、センター試験を受けたことがなかったり自分には文系のセンスがないと感じていたりする医学生には特にオススメしたい講座です。
ではセンター試験が得意で文系のセンスもある医学生は受講しなくていいかと言うとそもそも受講しなくてよかったかどうかは受講してみるまで分かりませんし、他の受験生の多くが受講している講座は国試直前の安心のために見ておくべきと私は考えます。講座の最後に穂澄先生からの(珍しく)熱い激励メッセージもあり、流し見でもいいので裏技・テクニック特講は絶対に見ておくことを重ねてオススメします。
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