第10話
魔族たちの隠れ家にサンタもといノアが訪れてから一時間も経っていない頃。
ラーニングラドの一角で膨大な魔力が蠢き、爆音が響き渡った。
「……もう、来たのか……早すぎる」
地下に作られている魔族の隠れ家。
その上に建てられている小さな建物ごと地面を吹き飛ばしたその爆発は、地下に隠れていた魔族の隠れ家をあらわにする。
「ようやく見つけたぞ。我らが秘宝……さぁ、返してもらおうか?」
アンノウンの幹部の一人が地下に隠れる魔族たちを見下ろし、口を開く。
「……ほぼ全員集合か」
今まで決して一つになることはなく、各々が好きなようにやるだけであったアンノウンの幹部たちが今、全員が協力して集まって魔族へと襲撃を仕掛けていた。
全ては魔族の隠れ家の一角で安置されている魔王の血肉を取り返すために。
「魔王様の御身を汚すなよ……ここが踏ん張りどころだ。たとえ、これが罠であろうと……我らの悲願のため、その身を捧げよ」
「「「おうっ!」」」
魔族たちは……アンノウンの幹部たちと自分たちが潰し合うように仕向けたサンタを名乗る謎の男のことを思い浮かべ、これが負け戦であると。
そう半ば察しながらも気合を入れ、拳を握る。
「終わらせよう」
「……ふー。これで面倒な活動も終わりね」
「カッカッカ。良いじゃねぇか。たまにゃぁーこういうのも」
「俺は御免だ。これが最後だ」
「さっさと終わらせて、帰りましょ……魔族なんて汚らわしい子しかいないわ」
「……面倒」
それに対してアンノウンの幹部たちは全員が気楽に悲壮感など何もなく、傲慢に魔族たちと対峙する。
彼ら、彼女らに警戒心はない。
これが長年人類を裏から支配していた長き時を生きる怪物たちの自信であり、弱点だった。
「死に絶えろ」
アンノウンの幹部が何気なく魔法を発動させ、ありとあらゆるものを破壊する死の波動を放つ。
それが開戦の合図であり、死の波動に魔法を使って抵抗した魔族たちは地下から地上へと飛び出し、アンノウンの幹部たちへと襲撃を仕掛けた。
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