第17話 侵入者
前書き
前回のあらすじ
セーフティポイントへの道を見つける主人公
本文
レジスタンスから逃げ込んで来る人間が俺たちだけとは限らない。廃墟となっている教会にある通路の存在を知っている者もいるだろう。前回のような失態は避けたい。首チョンパはトラウマ、あんなのはもん懲り懲り。
「
防犯グッズを部屋の前の廊下に設置して無線で知らせてくれるように調整する。しっかり機能するかエレノアさんに赤外線センサーに触れてもらう。
「へぇ、ちゃんとセンサーに引っかかると警告音がなるのか。いいねぇ。
枕、敷布団、掛布団。これがあれば寝れる。エレノアさんの分も召喚し隣に敷く。身体を清潔にし、ご飯を食べ終えた俺たちは布団の中にはいる。
「エルさん、この布団ふかふかですね!」
「今までの布団とは全く違うでしょ?やはり、寝具は西川さんに限る。あっ、有刺鉄線に混ぜてピアノ線を設置してくれてありがとう。エレノアさんって、手先器用だね。」
「エルさんが最後に設置していた罠の引き金だけは引いて欲しくないですね。アレは凶悪な罠です。ふふっ。私もあの罠の前では無力でしょう。本当に酷いお方。」
確かにエレノアさんが言う罠が発動しないことを祈る。そう言えば、外の様子はどうなっているんだろう?戦闘音が聞こえてくることから、まだこれから激化していくのかも...戦闘の音を子守唄代わりに俺たちは眠りにつく。
「ッ!」
「ッ!」
衝撃と鳴り続ける音に目が覚め飛び上がるように起床する。これは...防犯用の赤外線センサーも反応していることから侵入者で間違いない。
有刺鉄線は教会の外、聖堂、そして部屋に隣接している廊下に展開している。廊下には自動機関銃の引き金をひくピアノ線を混ぜていた。
「機関銃が作動したということは、廊下まで侵入してきた奴がいる。エレノアさん、戦闘になるかもしれないから支度をして!」
「はい!機関銃とやらの弾が尽きたら私が様子を見に行きます。エルさんはここで待機でお願いします。」
「了解。」
自動機関銃の弾が尽きて静寂になり、作動中は気にならなかったが硝煙の匂いが充満して鼻が麻痺する。
エレノアさんが俺にアイコンタクトを送り、部屋のドアを明け様子を見に行く。
(それにしても、忍び返しと有刺鉄線を設置していたにも関わらず廊下までたどり着くなんて...靴に鉄板でも仕込んでいたのか?とてもじゃないが歩行するのは難しい罠だぞ?)
敵の頑丈さに舌を巻きつつ、俺はアサルトライフルを構え、いつでも撃てる体制をとる。
(さっきの機関銃の音で敵が群がって来なければいいけど...不可視化のローブかないと丸見え。エレノアさんに返してもらわなきゃな。)
エレノアさんが様子を見に行ってから10分が経つが、未だに戻ってこない。耳をすまし、周囲の音を拾うが、戦闘音はしない。声も聞こえない。少し、不安になってきたところに部屋の扉が開き、エレノアさんが戻ってくる。
(全く、足音しなかったんだけど...)
「只今戻りました。死体の処理をしており遅くなりました。一応報告しますね。人間が数人、それを追いかけてきたであろう獣人が3人死んでおりました。有刺鉄線の上で人間が死んでおり、その上を通って獣人たちは廊下まで辿り着き機関銃で射殺された、あくまでも私の予測ではありますが間違いないでしょう。」
「了解。報告と死体の処理、ありがとう。
サンドイッチをエレノアさんに渡してから、俺は自動機関銃を消し、新たな機関銃を設置する。前回と同じ仕組みで罠を張る。廊下に出て見えたのが血肉が飛び散っていて、グロテスクであること。なにより、血で廊下が真っ赤に染まっていた。
「エレノアさん。あの惨状見て、何か思うことある?」
サンドイッチをほうばりながらエナジードリンクを飲むエレノアさんに問う。
「うーん、別に何も思わないですね。私の手で殺したかったという気持ちはありますが、安全かつ確実に始末出来るなら特に言うことありません。」
「そうか。それなら良いんだけど...。サンドイッチを食べ終えたら昆虫型ドローンを飛ばして外の様子を確認しようと思う。エレノアさんはどうする?」
「そうですね...私もエルさんのお手伝いをします。セーフティポイントに通ずる入り口も気になりますが、外の様子を見てから判断した方がいいかもしれません。また侵入者が来るかもしれませんし。」
「仰る通りで。
サンドイッチを食べながら考える。
(セーフティポイント、街の外に出口があった場合、もう追うことは出来ないかも。いや、流石に街の外の出口からぞろぞろ人間が出てきたら、レジスタンスが見つけているはず。本当に避難先なのか?地下に街があったりして...)
後書き
次回 誓い
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