平凡モブ顔男子高校生がイケメンヤンデレ彼氏に溺愛される話

ねねこ

第1話

俺、河村尚(カワムラナオ)には、付き合っている彼氏がいる。同じ高校2年生の同級生で、学年1のモテ男の瀬川奏多(セガワカナタ)だ。あろうことか、瀬川から告白してきたのである!


「河村、恋人になってくれ」


「え!?何で!!?」


「何でって、そりゃあ河村の事が…」


「あ!もしかしてカモフラージュ!?瀬川、モテまくりでいつも大変そーだもんな…」


「……」


そうでなければ、瀬川が告白してくるなんておかしい。俺はどこからどう見ても、冴えないモブ男である。告白なんてものは1度もされた事なければ、バレンタインのチョコだって、1個も貰った事はない。瀬川が男の俺に告白してきたのは謎だが、きっとキャーキャー言う女子を、周りから居なくする事ができれば、誰でも良かったのだろう。ちなみに俺と瀬川は同級生で同じクラスではあるものの、部類があまりにも違うので、接点は何もない。(何ていうか、瀬川の周りにはキラキラの星が飛んでいる)


「いいよ!!そういう事なら、協力するよ!!モテるっていうのも、本当大変だな」


「……ありがとう」



かくして、俺と瀬川は付き合う事になったのである。それにしても…それにしてもだ!!何か瀬川の奴が甘い!!

べらぼうに甘い!!

まず校舎裏で告白された後、教室に戻ると、瀬川がクラス全員に向かって、”俺、こいつと付き合うことにしたから”と宣言し、俺にキスをした。クラス女子の全員が泡を吹いて、倒れた。俺も倒れた。


「せ、瀬川!!な、何してんだよ!!俺、ファーストキスだったんだぞ!カモフラージュにしたって、やりすぎだぞ!!」


放課後の帰り道一緒に帰りながら瀬川に怒ると、瀬川は俺に向かってまたキスをしてきた。


「可愛い、初めてだったんだ。照れてるね、顔赤くなってるのも可愛いよ」


チュチュ、っと瀬川は柔らかく笑いながら、俺の唇に甘いキスをふらしてくる。な~~~~~!!こいつ俺が恋愛未経験者だから、馬鹿にしてるのか!!?それにしても、このモブ顔としか言えない俺にキスしてくるなんて!!カモフラージュにしても凄いな!!


ちゅちゅちゅ


「め、だめ、瀬川ダメだよ!!!」



ちゅちゅ、瀬川は全く俺の言葉には耳を傾けない。それどころか、より濃厚なキスをしてこようとしてくる。


「~~~~~~~っ!!!!も、これ以上してくんなら別れる!!!」


ピタリと瀬川のキスは止まった。


「ご、ごめん、つい抑えきれなくて…。河村があんまりにも可愛いから…」


「な、なに言ってんだ瀬川!!!…お前、眼科行った方が良いぞ」


瀬川はこんなにもイケメンだというのに、どうやら眼は悪いらしい。まあイケメンなんだから、それくらいの欠点はあって然るべきである。


「いや、俺両目とも視力2,0あるけど。」


なかった!!やっぱイケメンはイケメンだったわ!!!ーん?ということは…


「もうキスはしないから、手、繋いじゃだめ…?」


瀬川はまるで子犬のように落ち込み、俺にキラキラの爆イケの顔を向けてくる。やめろ!!こっちを見るな!!


「~~~っ!!分かったよ!手!手だけだからな!!」


「!!!うん!!ありがとう!!!河村!」


う!!何だその顔は!!爽やかすぎるだろ!!

あ~~イケメンずりいいいい!!

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