間話 承認欲求【松竹マイ】

 承認欲求万歳。

 これっておかしい?

 違うよね。

 だってそれが人間だもん。


 褒められたい。認められたい。人気者になりたい。

 そして応援されたい。

 それって普通じゃない? 人として当然だよね?


 それなのに承認欲求を求めることが間違ってるような空気っておかしくない。

 今の学校では誰も褒めてくれない。応援もしてくれない。


 憧れ、羨望。

 それらは私の夢となり、原動力になる。


 でも、それらは否定される。

 お前には無理だ。バカなことをするな。みっともない。現実を見ろ。

 子供の時から押し付けられる否定。


 それでも私は頑張ってみた。たとえ下手くそでも。

 失敗したり、ちょっと成功したりもする。


 でも成功すると誰も褒めてくれない。

 私から言うと自慢になるし、嫌われる。

 それなのにこっちが失敗すると満面の笑みと下卑た目つきでやってくる。

 そして馬鹿にする。


 応援しない。褒めない。失敗したら喜びながらやってくる彼ら。

 なぜ彼らはそんなことをするのか。それはこれよりかはだと安心するためだ。

 それが今の人間。


 もちろん彼らも応援や褒めることをしないわけではない。

 でもその対象は限られている。

 好かれる者。才能ある者。そういった人達が対象。


 私は人から好かれないし、才能もない。

 だから否定される。


 それが私の子供時代。


 そんな子供時代を支えてくれたのがSNSだ。

 現実では誰も応援してくれなかってし、褒めてもくれなかったけどSNSでは応援もしてくれるし、褒めてもくれる。


 それがどれだけ私の救いになったか。

 きっとSNSがなかったら、私は壊れていただろう。

 最悪、自殺までしてたかもしれない。


 しかしSNSにも悪性がある。

 罵詈雑言、誹謗中傷はもちろんのこと、現実の彼らのような益体のない言葉を浴びせてくる者もいる。


 ちょっとしたことで炎上することも。

 けれどもSNSは私にとって生きるために大切なツールとなっていた。


 そして私は大人になった。

 残ったのは惨めな私。


 私は失敗した。

 彼らは笑うだろう。ほれみろ言ったことかと。


 でも、そんな私がペイベックスのVtuberになった。


 最初はVtuberなんて今更やって埋もれるだけだろうと思っていた。あの頃は有象無象のVtuberで溢れていたからだ。

 でも最後にと私はペイベックスのVtuberになった。


 神様よ。最後にチャンスを与えてください。


 ……………………。

 ……………………。


 成功したかどうかだ?

 逆に聞くけど、あなたはどう思う?


 知りたい?

 なら私を見なさい。


 松竹マイの物語はまだ終わっていないの。

 最後まで見て!

 私のファンなら文句を言わずに最後まで付き合いなさい。

 泥舟だろうが、難破船だろうがね。


 そして最後に成功したかどうかを決めなさい。


 ま、答えは分かってるけどね。


 教えてほしい?

 いーや。教えてあーげない。フフッ。

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