僕と友達

「ねね相崎、あんたは私のことどう思っているわけ?」




唐突に聞かれどうこたえようとしようか悩んでしまった


ただ一方的な関係?それともはっきりと嫌いといったほうがいいのか?


いやこの時の最善の答えはやっぱりスルーすることに限る


そう決断した僕は花見の質問にスルーをした。




「なんで無視するの?」




そういわれると話ずらくなるからこれもまたスルー




「相崎って都合が悪くなるとすぐに無視するよね」




都合が悪くなるととは限らない、ただ面倒な時にもスルーするときもある


僕にとって会話は面倒なことだから


会話を続けようとしないことで僕の中でスルースキルが手に入ったのだと思う




「おーいちょっと少し位返事をしてよ」




「ん?なんだ?」




「なんだ?じゃないわよ私のことどう思っているわけ?」




またその話題か、僕は彼女が行っているvtuber活動のための原画を描いただけのイラストレーター


ただそんなことなのにぐいぐい質問してくる


さて、なんて答えればいいのだろう


あ!ちょっとだけ意地悪かもしれないがいいことを思いついた




「関係についていうなら、僕は花見とは全く関係のないただの人って感じだな」




「全く関係のないってことはないじゃない。現に」




正論が返ってきたことに驚いた。こいつは結構まともな奴だからな




「すまん、でもあまり僕はお前とかかわりたくないそれだけ言っておく」




「なんで?その理由を教えて」




「理由なぁ、理由はただ単に面倒だからだ」




「そんな理由でかかわりたくなかったらあんた一生友達作れずにいるけどいいの?」




「ぐっ・・」




心に傷をつくようなことを言われた


そう僕は友達がいないのだ!あ、これは誇らしげに言ってはいけないな


ただ面倒と理由をつけて他人とかかわることを最小限にしてきた僕は友達なんて一人もいなかった




「だから、ちゃんとあんたと友達という関係になりたいの」




「いやだ、友達なんて作るようなもんじゃないだろ」




「なんで?友達がいたら毎日楽しく過ごせるのに?」




「一緒に過ごすことで僕一人の時間が無くなっていくだろう」




「本当に一人が好きなのね。でもいいの?この美少女と友達になれるのよ」




「自分のことを美少女というか?」




「そうよ」




すこし体を後ろに引いてなんだこいつと思ってしまった


まあ彼女は学校内でも目立つぐらい顔が整っているそれは否定できない


だからと言って自分のことを美少女というか?ふつうはないな


ナルシストが言っているような「僕のイケメンの力で地球は回っている」とか


「僕の中に何か不十分なものってあるの?」とか言ってそうな顔つきでそう言われた




「まあいいや、でも友達を作りたくない僕にはその交渉は無理だな」




「なんかあんたすごいわね、そこまでして友達を作りたくない理由ってなんかあるの?」




いやな質問が来た。


友達を作りたくない理由なんかいくらでもある、でも


一番の理由は小学校の時だった、一番と思っていた友達に僕の家は少し裕福だったからと言って


僕に対していじめを始めたのだ。


それがきっかけで友達を作ろうとしなかった。でもそれをいま彼女に言ってもいいのか?


花見はずっと返事を待っている




「理由なんていくらでもあるが、一番の理由はあまり話したくないから言えないな」




「そう、なら話さなくてもいいわよ」




おお、あっけなく引き下がってくれたことがなんとなくうれしかった

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