スキルが使えたのか……。

「それでは、一度調べてきますね」


「よろしくお願いします」


リズリさんは、微笑んで部屋に戻って行った。


とりあえず、今の俺に出来る事は……。


俺は、考えながら横になった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「それで、ですね」


「そうか。アーキー君が破壊のスキルを使用出来たのか」


私は、ミズーから話を聞いている。どうやら、先ほどアパートにいるリズリから連絡を受けたようだった。


「ソウヤ理事長、壁の方は?」


「いつものあいつに頼んでくれて大丈夫だ」


「かしこまりました」


ミズーは、部屋を出て行った。


私は、すぐにある場所に電話をする。


『破壊のスキルを使用出来たとしても、色は戻せない』


「わかっている。ただ、この賭けは私の勝ちになるかもしれないだろ?」


『さぁーー。それは、どうかな?スキル汚部屋の持ち主が、たまたま破壊のスキルを出来たってだけだろ?それで、マトメーが習得できるかなんてわからないだろ』


「だが、スキルを使えた事は事実だ!いずれ、マトメーだって使えるようになる」


『ハハハ。夢を見るのは勝手だが……。そう簡単にいかないのが、汚部屋スキルだぞ!それと、相方や周囲の人間に汚部屋スキルだとバレた時点でこの話しは無効だ』


「しかし、ミズーやパーンは知っている」


『その二人は、仕方ないけどな。これから先、他のやつに話せば。その時点で終わりだ。じゃあな』


「ちょっと待ってくれ」


電話は、一方的に切られてしまった。


「はぁーー」


『お兄様は、期待されていなかったのですね』


私のため息を聞いて、ピーカルンが現れた。


「そうだな。兄は、昔から私に期待などしていない」


『ソウヤ理事長は、アーキー君が自分に似ていると思ったのですね。だから、あんな無理難題を押し付けて』


「それでも、アーキー君は答えようとしてくれている。彼ならきっとこの王国に色を取り戻してくれる」


『信じているのですね』


「信じているよ」


『それでは、こちらを調べておきました』


私は、ピーカルンが調べたものを見せられる。


「まさか!リズリが……。確かに、よく似ているな」


『スキルを使えたのは、リズリさんのお陰かもしれません』


「確かに、そうかもしれないな!いくつになっても、男は母親が好きだからな。ハハハ」


『そういう問題ではないと思います』


「まぁ、いいじゃないか!リズリと関わって、アーキー君がスキルを使えた事は事実なんだから」


『それでは、この人達も関わらせますか?』


私は、ピーカルンの言葉に頷いた。


「そうだな。習得する為に、利用出来るものはした方がいい」


『かしこまりました』


私は、アーキー君がスキルを習得出来る未来を見た気がしていた。


◆◆◆◆◆◆◆◆


「はぁーー。寝てしまった。さてと、ホウの為にやるかなーー」


俺は、伸びをしてから起き上がった。


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