俺がホウに出来る事

リズリさんと別れた俺は部屋に入る。


俺は、自分の部屋の掃き掃除と拭き掃除をやらないといけないのを思い出した。


部屋を開けるとアオーが広がり始めている。そして、隅の方から黒い物体が現れている。


俺は、【マトメー】さえも習得していない。


いや!待てよ。確か、【フキー】って叫んでいたよな。


もしかすると、習得してなくても出来るのかもしれないよな!


俺は、深呼吸をしてたっぷりと息を吸った。


そして、息を吐くのと同時に叫んだ!!


「フキーーーーーー」


ボンッ………………!!!


めちゃくちゃ、でっかい音がした。


「あらあら、どうしますか?」


リビングから、声が聞こえて俺は走って行く。


そこには、リズリさんが立っていた。


リズリさんが、立っている???


リズリさんが…………!!


「いつ、入って来たんですか?鍵は閉めましたよ!あっ、合鍵とか持っているんですか」


俺は、驚いているせいで早口で話した。


「まぁ、まぁ、落ち着いて下さい」


リズリさんは、俺を落ち着かせるように手を上下に振る。


「すみません。驚いてしまって……。あの、どうやってこの部屋に入ったんですか?スキルですか?」


リズリさんは、俺の言葉に顎に手を当てながら話す。


「あのーー。どういう原理かわからないのですが……。突然、壁がなくなったんですよーー」


「え?壁がですか?」


俺は、リズリさんの言葉を聞いて近づいて行く。


「ほらーー。ここに壁があったじゃないですかーー。だけど、なくなったんですよねーー」


そう言われて、リズリさんの足元を見ると小さな木の破片が散らばっている。


これって、俺が【フキー】って叫んだせいなのか?


俺は、木の破片を拾って見つめる。


「洗面所を片付けていたら、突然ボンッて音がしたんです。それで、来てみたら壁がなかったんです」


リズリさんは、困ったように眉を寄せている。


「俺が、持っていないスキルを叫んだからですかね?まだ、教えてもらった事もないスキルを……」


リズリさんは、俺の言葉に「どんなスキルを叫んだの?」と聞いてきた。


「アオーを片付ける為に、フキーって叫びました」


俺の言葉を聞いて、リズリさんは笑い出した。


「何か、おかしかったですか?」


「あっ、ごめんなさい。そんな事ってあるんだなーーって思ったらおかしくて」


「そんな事って、何ですか?」


俺の言葉にリズリさんは「アーキーさんが叫んだのは、破壊のスキルですね」と言ってくる。


「破壊のスキルですか?」


「はい。まさか、そんな事あるとは思わなかったんですが……」


リズリさんは、そう言うとエプロンのポケットから検索機を出した。




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