精霊の森 "黄金の覚醒"編(2 / 14)
「まずは数を減らしますっ!」
シバの背中の上、手に持った聖杖を真上へと掲げるジャンヌ。
すると俺たちを中心にして円状に、緑の光の輪が広がっていった。
それはジャンヌだけが使える特別な能力──【
光が覆った足元の黒土からポツポツポツと、新芽が顔を出していく。
それはやがてモンスターの軍勢をも呑み込んで、ジュワッと。
「すごいすごいっ、軍勢の半分くらい浄化しちゃった! さすがジャンヌだよっ!」
「あんじょう加減したってやぁ。せっかく妾が全員まとめてザッコザコにしてはろう思うとったのにぃ」
興奮気味にシバが笑い、メイスは嘆いた。
それは余裕の表れでもあるが、しかし。
「油断するなよ、みんな。残っているのはジャンヌのセイント・ヒールで浄化しきれないモンスター……それなりに強いはずだぞ」
「ハッ! そんなもん、我のゴッデス・スーパーウルトラハイパー・ビームで吹き飛ばしてやるのじゃ!」
シバの背中から飛び立つのはイオリテ。
フワリと宙へと浮き上がる。
「モンスターどもめ、いずれ我が女神に返り咲くために積む徳の一部となるがいい! ハイパーウルトラ・エクストリーム・ゴッデス・ビーム!!!」
イオリテのもつ魔術杖から射出された正体不明の謎魔力による光線が目の前の軍勢を宙高くに吹き飛ばしていく。
「フハハ! モンスターどもがゴミのようじゃっ!!!」
「技名変わってない?」
「細かいことなど気にするでない! それよりもホレ、ようやく軍勢もコッチに気づいたらしいぞ」
イオリテの言う通り、軍勢は唐突な攻撃に混乱しつつもこちらへと視線を集めつつあった。
再び統制を取られる前に叩いた方がいいだろう。
「シバ、ジャンヌ、イオリテは手前のモンスターたちを! 俺とメイスで後方で木を引っこ抜いてる巨人どもを倒す!」
分担の指示通り、シバは軍勢を蹴散らしつつ突っ込み後方で俺とメイスを降ろすとそのまま北から南方向へと向けて、横一線にモンスターたちをなぎ払っていった。
「テツトお兄さんと共闘やなんて、光栄やわぁ」
「別行動だぞ?」
「ええっ!? なんでやのん!」
「いや、そっちの方が効率いいし……」
なにより、俺たち二人で組むメリットもない。
なにせ──
「なんだぁ? テメェらはっ!」
俺とメイスとの雑談に、野太く大きな声が挟まれる。
突如として現れた俺たちへと、木々を引っこ抜いていた巨人たちが注目し始めていた。
「チビ人間どもが、まさかオレらの作業をジャマしに来たってんじゃ──」
「
メシャッ! と。
言葉を挟んできた巨人の首から上が破砕した。
メイスが反動もつけずに垂直に跳ぶや、裏拳を叩き込んだのだ。
「まだ妾がお兄さんと楽しくおしゃべりしとる最中やろに、それがわからへんの? 腕力だけやなくて頭もザッコいと、救いようがあれへんで」
「テッ──テメェッ!!!」
冷たく言い放ったメイスへと巨人たちがその巨大な腕を勢いよく迫らせる。
「話はまた後でやな、テツトお兄さん」
ニコリと微笑み、その語尾をハートでも付けるかのように上げるメイス。
ユラリと構える。
そして巨人の腕を蛇のようにくねらせた手の動きですべていなすと、直後に合わせた拳のカウンターで全員またたくまに吹き飛ばしていった。
……うん。やっぱり組む必要まったくないな。
さすがはメイス、近接戦闘に関してはロジャに次ぐ実力者なだけはある。
「じゃあ俺は向こう側の巨人を相手して来るよ」
「いってらっしゃいお兄さん。助けが必要になったらおっきな声で呼んでや~」
メイスの軽口に背中を押されつつ、俺は体の横へと手を掲げる。
「マヌゥ」
『
ヌプリと。
水面のごとく波紋を広げる地面から、ガードの無い勇ましい西洋剣が延びてくると、そのグリップが俺の手に収まった。
刀身に七色の光を宿すその剣の名は、妖精剣モルデュール。
沼の精霊マヌゥの持つ【
「じゃあ、俺たちもやるとしよう!」
『がんばるのですぅ!』
俺へと狙いを定めて突進してきた巨人たちをマヌゥの沼移動によって地面へと沈み、かわす。
そしてその背後に浮上すると、モルデュールの一振りでまとめて両断した。
『頼む! 急いでくれ、テツト! ワシらの森をこれ以上失うわけにはいかんのだ!』
「わかってる」
頭の中で悲痛そうに叫ぶカジへと、相づち。
「10分で終わらせるよ」
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