第2話

自分の人生で

ひやかしたい相手なんて一生現れないと思っていた。

それが、恋人でもない真中と、先っぽだけでも交わることになるとは。


私は紅葉の綺麗な県から

ダサいとされる県へと

悪質な親戚の執拗な接触から、一家で逃げるために転居までした。

高額だが老朽化が進み、これから改修工事が入るというマンションを両親が買った。

マンションて、改修するんだ。


ビルディングが使われていた扉や、柱、中にはカウンターを取り外しながら、

レトロ感を残して耐久性だけ工事することなら知っていた。

家族でよく行く、必ず子供の頃からメロンソーダを頼む喫茶店で、

その建物の歴史がまた上塗りされたのを体験したことがあるからだ。


思い出はある。しかし住んでいた土地への思いは薄い。なぜなら住んでいた場所の最寄りの駅から四駅先へ引っ越すだけだからだ。

最初は大学生の私だけ逃げてはどうか、と密やかな相談が始まった。アルバイトをしながら。

まったく、不安はなかった。


ただストーカーにも日常的につけまわされていたので、相手は何かしてくるタイプじゃなさそうだけど。

両親は

「どうする?」

「じつはいい物件が」

「入口だけだけど〈監視カメラ設置予定〉、」

話は間取りと条件の印刷されたコピー用紙を五枚机に重ね、


「?」まさか、私たち〈一家〉ごと。


「買っちゃう?じゃあね、ここ!」

霊感のある母が、その物件の力を感じ取り即断即決した。


大学もアルバイトも続けられるけど。

新生活、わたしは高校一年から勤めていた妖怪寿司から惜しまれながら二十二歳。

ほんとー!に労働力と決断力、対応力、コミュニケーション能力、クレーム対処力。

全ての能力を惜しまれて盛大にアルバイト、飲食業から離れた。

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