【006】即興お題漫才闇鍋バトルその1

「はーいどうもマジックアワーです」

「お願いします-」

「即興お題漫才闇鍋バトルということで本日、お客様から五つのお題を頂いております」

「この五つがねー、ばらっばらで」

「永遠、鍋焼きうどん、忍者、河童、黒猫」

「これを入れて即興で漫才をするという企画、我々トップバッターで出てきたものの、さてどうしましょう?」

「俺にいい考えがあるから聞いて」

「お、まじか」

「新しいゲームを創ったらええんちゃうかなあと思うんよ」

「え? どういうこと?」

「テレビゲームや」

「テレビゲーム?」

「子供の頃やってたファミコンにありそうな架空のゲームをここで考えるねん。それにお題が全部入ってたらええわけやろ?」

「あー、なるほどな。ほな聞かせてもらおか」

「まずそのゲームは横スクロールのアクションゲームやねん」

「横スクロールのアクションゲーム」

「主人公は黒猫に乗った河童や」

「いきなりやなおい」

「で、次々と迫って来る悪い忍者をやっつけていくねん」

「いちおう三つクリアやけれども」

「忍者が投げてくる手裏剣に当たったら体力が減るねんけど、道端に落ちてる鍋焼きうどんを拾って食べたら回復するんや」

「確かにあったけどな。落ちてる肉とかケーキとか取って回復するタイプのゲーム」

「でな、体力満タンの時に鍋焼きうどん取ったら河童やから頭の皿にストックできるねん」

「あっつ! 熱くて戦われへんでそれ!」

「最終面でボス忍者を倒すとまた一面に戻って、忍者が増えててちょっと難しくなってるのを永遠に繰り返しや」

「昔のファミコンのゲームは確かにそうやったけども!」

「おもしろそうやろ?」

「どこがやねん! 無理矢理お題ねじ込んだだけやないか!」

「あかんかー」

「全然や。他なんか考えて」

「ほな、しりとりにしよか」

「おー」

「ここで二人でしりとりして、うまいことお題を全部出せればええんちゃうの」

「あー、それやったら……あかんわ」

「なんでえな?」

「お題に『えいえ』と『なべやきうど』が入ってるから成立せえへん」

「そんなこともないやろ」

「いやあるやろ。ん、の付くお題が二つあったら全部出る前にしりとり終わってまうやん」

「アフリカの地名で『ンジャメナ』っていうのがあってやな」

「いや反則や!」

「他にも古典落語に『ん廻し』という演目が」

「ちゃうねんちゃうねん! しりとりは最後にが付いた地点で負けやねん!」

「あかんかー」

「どうでもええけどに詳しいなあ」

「負けず嫌いな子やったからなあ」

「ちゃうやろ。お前がンジャメナ言うときにはお前もう勝ってるから」

「ほな褒めよ。女の人を褒めよ。これでいこ」

「どういうことやねん」

「例えば女性の脚が綺麗やったら、カモシカのような脚、とかいうやろ? それをこのお題でやったらええねん」

「それこそどういうことよ?」

「やったらわかるて」

「ほなやってみてや」

「鍋焼きうどんのような白い肌!」

「うどんでええやん! 白さを伝えたいんやったらうどんでええやん! 出汁と具材のせいでうどんの白さが薄まってもうてるやん」

「忍者のような奥ゆかしさ!」

「あの人ら奥ゆかしいから忍んでるんちゃうねん! 仕事で忍んではるねん!」

「黒猫のような気まぐれな性格も魅力的!」

「猫でええやん! 性格の話やねんから黒とかミケとか関係ないやん!」

「河童のような薄気味悪さ!」

「もう褒めてもないーっ!」

「あかんかー」

「全然あかんよ。どないすんねん。オチ付くまで永遠にやる気か」

「これ闇鍋バトルやろ?」

「せや」

「ほなこうして煮崩れする場合もあるわけで」

「すっかりぐずぐずやないか! やめさせてもらうわ!」



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(本文の文字数:1,455字)

(使用したお題:「永遠」「鍋焼きうどん」「ニンジャ」「河童」「黒猫」)

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