好きだから、その言葉をあなたにも
アイスは溶ける前に食べるのが美味しい。溶かしたら二流。そんな独自の方程式で少し対抗した。
そんな悠里の心を置いて、よきところで恋はまた話を続ける
木の上にいることが自体が安全でも結局真っ暗になってしまうわけだから私は無理矢理にでも降りようとしたの。
ただ降りても降りても地面にたどり着かないの。不思議だよね。下が見えないからだろうけど。
本当に怖くて、どんどん暗くなっていって、周りも街灯の明かりしか見えなくて、世界に私が一人取り残された気分になった。
「助けてよ。だれか」
頑張って降りてたけどついに足をかける場所が分からなくなって、大きく声を張り上げるだけの力もなかったからただ小さい声でそう呟いて助けを求めるしか出来なくなったわ。
「ごめんなさい」
それで私は馬鹿の気持ちを知るっていう周りを見下した考えでこんなことをしたのを後悔した。きっとそんなことをしてるから世界に嫌われてしまったんだって、そんなふうに思って木にしがみついてたわ。
それで何時間経ったのかしらね。子供の頃って時間が早く過ぎるように感じるから多分三十分くらいしか経ってないんだろうけど、それでもずっと木にしがみついているのは怖くて手も震えててどうしようもなくてもうダメかもと思った。
「誰か、助けてよ」
手から力が抜けかけた時、一筋したから光が射したわ。
「大丈夫?」
声が聞こえて、誰かが足を触ってその感触を確かめてたの。
その手は小さくて暖かかったのを私は忘れない。
「こっち!わかる?こっちに足をかけて」
優しい声で私に道を示してくれる。
久しぶりに下を見たときに可愛い女の子の顔が見えた。
その子は心配するでも怒るでもない笑顔で私を導いてくれた。
完全に降りる頃にはもう完全に陽が沈んでいて辺りは真っ暗。
ありがとうありがとうって何度もお礼を言うとその子は
「よかったねよかったね」
って何度も返してくれた。優しかった。その子の笑顔には仮面がなかった。
屈託のないその表情は決して誰かにいい顔をするために作られたものじゃない。
そんなキラキラした笑顔でよかったねって言ってもらえるたびに私は涙が出て泣いちゃったんだよ。
あの時の感覚は全く忘れられない
「怖かったの!本当に!本当にありがとう!」
そうやって必死に感謝を伝えると
「いいよー」
って返してくれるあなたが眩しくて、目を見れなかったわ。息が上がってた。両足を地面につけたときに多分怖かったって感情がいっぺんにやってきて手が震えてた。
「なんで助けてくれたの?」その時私は自然にそんな言葉が出ちゃってた。よく考えたら助けを呼ぶ声が聞こえたとか誰かが木にいるのが見えたからに決まってるのに
なのにその女の子は
「好きだから」
そう答えた。私にはそれが、それが...まぁそのあとその子は
「じゃあね!」
って続けてカゴに牛乳の入った自転車を漕いで行っちゃった。
いろんなことを聞きたかった。その子ともっとお話して仲良くなりたかった。
けどあの子はいってしまった。
だからせめて、忘れないようにしようと彼女のように振舞おうと私は決めたの。
その日は一旦帰って、次の日学校が終わって明るいうちにその公園に行ってもその子はいなかった。
次の日もその次の日もその公園に行ったの。だけど会えなかった。
会いたかった。
あの素敵な彼女が本心なのか、あの顔が仮面じゃ無く本当の顔なのか確かめたかった。
会って、私も好きと言ってあげたかった
そんな思いで私は生きてきた。
そして高校生になった。
そして…ついにその子に会えた。
ごめんね。
あなたをミステリアスだからって言ったけど
結局のところはあなたを学校で見つけたから今まで貯めてた好きが溢れちゃった。
初めて会った時は笑顔じゃなくても、一瞬でその子だってわかった。
運命を感じちゃったの。
ずっとあの女の子に恋い焦がれてたから
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