第三十首 二十万の悪魔に...
二十万の悪魔に
坂口安吾の『白痴』を読んでいて思いついた短歌。
『白痴』では、主人公が与えられる月給に人生を抑えつけられ、月給の範囲でしか選択肢を選び取ることができない哀愁と、そんな月給の悪魔すらも白痴の女には入り込むことができない事実を確認する描写が含まれる。
現代ではおおよそ月給は二十万円として数えられる。二十万の悪魔が人々の心に入り込み、二十万の悪魔によって人生を操作される。かたや、二十万の悪魔に勝ったとされる清貧を掲げる哲学者の彼らは聖者として崇められ、弟子を伴い一つの思想となる。
しかし、資本主義の極まった現代では、もはや聖者の入り込む隙すらも与えない。聖者の刺激に魅了され、身を委ねたとしても、物質社会はその生き方を許さない。聖者の生き方は悪魔の生き方、しかし二十万の生き方も悪魔の生き方。なにを選ぼうと、他人に従っている時点でそれは等しく悪魔。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます