だきしめて。

ラジオ・K

つま?

 時計は01:57と語っていた。


 カタカタカタ……とキーボードがうたう。

 外では雨がしとしと、と言う。

 肩を回すとコキゴキと文句を云う。

 ぼくはそれらを参照して、少しして、「ふう」とため息をった。


「今日はこの辺にしておくか」


 作業を上書き保存し、パソコンの電源を切って、部屋の電気を消して、歩いて、洗面所について、電気をつけて、コップを取り出して、盗った歯ブラシを取って、コップに水をれて、歯ブラシに塩をつけて、歯を磨いて、水ですすいで、コップを洗ってあらって、ハブラシを捨てて。


「いあ、くん」


 すぐ後ろにあるベッドルームから声が聞こえる。ぼくを呼ぶ声だ。愛するつがいのこえだ。

 今いくよ。すぐにいくからね。



   と出会ったのは今日みたいな い色の雨が降っていたな、という日だった。    

 は緑繁茂する道端に転がっていた。

  服を被って、ボロボロで、泥だらけで、えずいていて、皮膚に亀裂が走っていて、少し真皮が出ていて、ちょっとだけ繊維が覗いていて、ミリ程の骨が土色に語っていた。


 でも  は美しかった。とても。


   が伸ばした震えた手をぼくは握った。

 ざあざあ、と雨が啼いた。



 ■■はその経歴からか、ひとりでいることを異常に怖がる。現にさっきまで抱き枕を抱いていたようだ。


ばっ。ぎゅううう。


 抱きついてきた。

 正面から、ぼくの胸元にかおが、腰にはいくつかのふくらみが、手は両とも背中に、肢は僕のに絡みつく。


すんすん。


 貌をぼくの髪の毛に近づけて、  を吸引する。く喉はうれしそう。


くるる。


 、がゆっくりとぼくの耳介をなぞって、遠慮しながら外耳道に侵入する。ぼくは抵抗しない。

 数分して、先端が鼓膜に触れる。ちろちろ、と斜め上に。

 やがて反対側からも、同じ感覚が脳を撫でる。


かりかり。ちろちろ。かりがり。ぴちょぉ。


 それからゆっくりと、ずるる、とは引き上げていく。


 宇宙ほしからの色の鞭毛かみのけを撫でると、嬉しそうに頭を肩にこすりつける。


ぐりぐりぐり。


 そのまま■■はぼくを求める。


がぶ、り。


 小さなおくちが唇に触れ、上顎側の歯茎を擦り、離れて、ゆっくりと下に、喉仏を甘噛みして、肩に吸い付く。


ちゅう。ちゅううう。


 あお色の痕がそこにあった。


れろ。れろ。れろ。れろ。れろ。れろ。れろ。れろ。


 、が少しずつ、体の下へと移動する。ねとりとした跡が続いていく。


ずるっ。ぶるり。


 ぼくの証が飛び出した。■■は、を握りしめ、弄った後、咥えた。脳髄を焼かれるような感触と共に思う。遠慮しなくていい、これがきみの為になるのならば、ぼくは…………


ご、くん。ぱかぁ。


 ぼくは■■に命の破片が渡ったことを確認して、奇妙な充足感を味わっていた。

 微笑む。


 ■■も    。





 全ての儀式はこうして終わり、2人は抱き合って、眠る。しっかりと、互いが混ざり合いながら。抱き合って。

 独りはさみしいから。

 だから、求め合うのだ。

 星辰が迎えるまで……??■?-が         で。





FIN。

By ラジオ・K。


ちょっとしたあとがきがあります。気になる人は次へどうぞ。

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