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このままだとタックが可哀想だ。こうなったら僕の護符を渡して元気になってもらおう。
僕自身は護符がないことになっちゃうけど、きっとなんとかなるさ。いざとなったら戦わないで逃げればいいんだし。
僕はタックの肩をポンと叩き、優しい眼差しで彼を見つめる。
「タック、僕の護符をあげるよ。だから安心して」
「っ!? それはダメだッ! アレスが危険だっ! だったらオイラは護符なんていらねぇ!」
「でも……」
「いいんだ。アレスの気持ちだけ受け取っておく。ありがとなっ」
タックは指で頬を掻きながら、照れくさそうに微笑んだ。どうやら少しは元気を取り戻してくれたみたいだ。やっぱりタックには明るく朗らかな方が似合ってる。
まぁ、もしもの時は僕が全力で彼のサポートをするし、敵と戦う覚悟だってある。絶対に見捨てるもんか。だって僕たちは大切な仲間同士なんだから。
もちろん、それはタックだけじゃなくてミューリエに対してもだけどね。三人で助け合って旅を続けていきたい。
でもそんな僕の想いとは裏腹に、タックはミューリエの方を向いて舌を出す。
「ミューリエのバ~カ! 少しはアレスの優しさを見習えってんだ!」
「……ふん」
ミューリエは相変わらずクールなまま、タックの言動をスルーしている。言い争いにならないだけマシかもしれないけど、このふたりの相性の悪さには困ったなぁ。
なんでここまで反発し合うんだろう? やれやれ……。
→102へ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652939270955
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