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このままだとタックが可哀想だ。ここはミューリエを説得して、タックの分の護符も追加で買おう。ゲドラさんには二度手間を掛けてしまう形になって申し訳ないけど。
「ミューリエ、このままだとタックが可哀想だよ。タックの分の護符も買ってあげようよ」
「ほぅ? アレスはエルフの小僧の肩を持つというのか?」
今までクールだったミューリエの眉がピクリと動き、声にもわずかに怒気が混じる。
すかさず僕は首を横に振り、ミューリエの瞳を真っ直ぐ見つめながら言葉を続ける。
「そ、そういうことじゃなくて――」
「うるさい! 私は非常に不愉快だ。もうふたりで勝手にするが良い」
ミューリエはすっかり機嫌が悪くなり、ひとりで家を出て行ってしまった。その際に激しく閉められたドアは壊れんばかりの衝撃と悲鳴を上げ、その後に長い沈黙が流れる。
僕は頭の中が真っ白になって、しばらく呆然としてしまった。そしてこれが彼女の姿を見た最後の瞬間となったのだった。
それはミューリエの身に何かが起きたということじゃない。いや、もしかしたら起きていたのかもしれないけど、確認することが出来なかったからそういう表現になったのだ。
なぜなら、このあと僕とタックは恐ろしい事件に巻き込まれることになって……。
BAD END 8-7
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