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 僕はまずミューリエから干し肉をもらうことにした。ずっと歩いてきたからか、肉とか魚のような食べ応えのあるものが欲しい。


 それに口の中に入れてしっかり噛んでいるとうま味が出て来るし、満腹感も得られる。


「それじゃ、干し肉からもらおうかな」


「――おっ、そうかそうか! さすがはアレス! では、受け取るが良い!」


 ミューリエは満足げに頷くと、持っていた干し肉を僕の手に握らせてくる。


 でも直後、すぐ隣から突き刺さるような視線と怨念めいたオーラが燃え上がるのを僕は感じて……。


 振り向いてみると、そこではタックが頬を膨らませながらブツブツと何かを呟いていた。内容は聞こえないけど、愚痴でも漏らしているような気がする。いずれにしてもヘソを曲げてしまったのは事実のようだ。


 だから僕は慌てて彼にフォローを入れる。


「あっ、えっと、干し肉を食べたら干しキノコももらうよ。ほら、同時には食べられないから単に順番を付けただけだよ、タック」


「だったら干しキノコが先でも良いじゃん。あー、オイラは別に怒ってないぞ。気にするな。せいぜい腹を壊さないように注意するんだな。その肉、何の肉か分からないしマジでヤバそうだから」


「てはは……」


 僕は顔が引きつり、苦笑いを浮かべるしかなかった。


 だってタック、もし怒ってなかったとしても機嫌が悪いのは間違いないから。言葉の一つひとつにトゲもあるし。参ったなぁ……。


「まぁ、エルフの小僧が何を言っても私には負け惜しみにしか聞こえんがな。アレスが先に干し肉を選んだという事実は変わらんのだからな。フフッ♪」


「ぐぬぬぬぬ!」


 余裕の笑みを浮かべているミューリエに対し、タックは奥歯を強く噛みしめながら地団駄を踏んでいた。


 ミューリエも状況を悪くするようなことを言わないでほしいなぁ、もう。


 その後、僕たちはその場で休憩しつつ、水分やエネルギーを補給したのだった。



 →45へ

https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652938031105

 

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