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このままだとタックが可哀想だ。本当は彼の分の護符を用意してあげられたら良いんだけど、それは難しそうだからなぁ。だからせめて声をかけて元気付けてあげないと。
僕はミューリエに聞こえないようにタックの耳元で囁く。
「タック、元気を出して。きっとミューリエはタックの実力を認めているから、護符なんて要らないって思ったんだよ。でも照れくさいからそれを口に出せないだけ。少なくとも無意識のうちにそう認識しているのは確かだよ。そうじゃなきゃ出ないセリフでしょ?」
「っ!?」
タックは小さく息を呑んだ。そしてわずかに間が空いてからニンマリと口元を緩めると、今度は彼も僕に耳打ちをしてくる。
「そうか、確かにそうだなっ。アレス、なかなか鋭いじゃん♪」
「そう? えへへ」
「――サンキュ、アレス。落ち込んでたオイラがバカだったぜ」
タックはすっかり元気を取り戻し、僕に勢いよく抱きついた。そんな僕たちをミューリエはキョトンとしながら眺めている。
いずれにしてもこの場は丸く収まったみたいで良かった。
でもミューリエとタックの相性の悪さは筋金入りだから、今後もしばらくは苦労させられそうだ。それを思うと僕は頭が痛い。やれやれ……。
NORMAL END 8-4
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