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僕はどうしても石柱のことが気になる。放ったままにするのは気持ち悪いし、ひとりで抱えるよりも仲間に相談した方が絶対に良い。
だから石柱の存在について、ミューリエに話しておくことにする。
「ミューリエ! ちょっと来てっ!」
僕は大声を上げ、ミューリエを呼んだ。するとそれに気付いた彼女はすぐに駆け寄ってくる。
「アレス、どうした? 何かあったのか?」
「うん、この石柱を見てほしいんだけど」
石柱を指差し、感じたことや思ったことなどをミューリエに話す。するとミューリエは最後まで黙って聞き終えてから静かに口を開く。
「……さすがだな。アレスよ、よく違和感に気付いた。これは冥界呪法の一種だ。この石柱には黄泉の力を増幅させる効果がある」
「じゃ、やっぱり良くないものなんだね?」
「いや、そうとも限らん。『黄泉の力』と聞くと悪いイメージがあるかもしれんが、力そのものは中立的なものだ。死者の魂に安らぎと休息を与えるのも黄泉の力。善なる神官が行使する魔法の中には黄泉の力を利用したものもある。確かに魔族や
「そうなんだ。見た目やイメージで判断するのは良くないんだね」
それを聞くとミューリエは小さく息を呑み、なぜかいつも以上に嬉しそうな顔をして大きく頷く。
「そういうことだ! ただ、現時点ではこの石柱がどういうものなのかの判断がつかない。頭の片隅に置いておくことにして、このまま放っておくのが良いだろう」
「分かった」
こうして僕たちは石柱から離れることにした。せっかく座りやすそうなものを見つけたのに、残念だけど仕方ないよね。
その後、僕は村の出入口付近の地面に座って休むことにした。
→76へ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652938759619
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