ジェフィスの剣
剣を持ってお互いに対峙する。
私がテリアとして転生して以来、数え切れないほどの模擬戦。多分回数なんて数えるのが無意味なくらいだろう。
それにもかかわらず、新しい顔と対峙するのはいつも新鮮な楽しみだった。
「嬉しそうですね」
私と対峙した人、ジェフィスがそう声をかけた。
黒い服、そしてそれを覆う純白のロングコート。私と同じ騎士科の制服だけど、身長差のせいかもっと素敵だ。私も女性にしては背がかなり高いモデル体型ではあるけど。
ジェフィスは比較的ほっそりとした体型だけど、彼が手にしたのは大きくて重い重剣だった。やっぱりフィリスノヴィの狂竜剣流を身につけたのだろう。
呪われた森にある基地の拡張結界の部屋。ここで私とジェフィスは模擬戦を行うことにした。
特別なきっかけがあったわけではない。ただ、お互いの実力を調べたいという合意があっただけだ。さらに、先に提案したのはジェフィスだった。私としては望んでやまなかったのですぐ承諾したけれど。
もちろん浮き立った気持ちとは別に、ジェフィスについてはきちんと分析しなきゃならない。
……彼の特性はそもそも狂竜剣流とはあまり合う方ではない。
ゲームで彼が死んだ理由は、一言で言えば敵の方が強かったからだ。狂竜剣流が彼の特性に最適化されなかったことを考えれば、彼によりよく合う技術を身につけたら悲劇を予防できたかもしれない。
特性、そしてジェフィス自身の適性。そんなことをすべて考慮して、彼に最もよく合うものを探して教えることを目標にする。
もちろん、表向きにはそのような気配を全然示さない。
「ふふ、嬉しいしかないですわ。新しい人との模擬戦はいつも新鮮なんですから」
「……そんなに美しいのに、性格はかなり豪快なようですね」
「あら、空世辞がお上手ですわね」
「特に空世辞ではありませんが。それでも……」
ジェフィスは重剣の刃を足で蹴り上げ、タッと肩に乗せた。穏やかだった表情が冷たくなった。その眼差しは姉のジェリアが戦闘態勢を取った時と同じくらい鋭かった。
その口元に薄い笑みが浮かんでいた。
「新鮮だというのは同感です。マンネリズムから脱皮するのにも良いです」
「気が合いそうですわね。では……」
〈魔装作成〉で紫色の双剣を作って握った。充満した魔力と模擬戦を前にした緊張感が、充実した高揚感で私の胸をときめかせた。
全身に魔力を循環させながら足を曲げる。
「始めましょうか!!」
勢いよく叫びながら地面を蹴る。
――の直前。
脚力を解放しようとした私の目の前に、重剣を振り回すジェフィスの姿があった。
――狂竜剣流〈竜の爪〉
分裂した多重斬撃を一撃で受け流した。しかし反撃に出る前に、すでに次の剣撃が私の首筋まで迫っていた。反対側の剣で防いだけれど、次の瞬間には私の頭頂部に向かって重剣が落ちていた。
一回、三回。七回。十五回。瞬く間に、という言葉さえ合わないほど圧倒的な速さ。重剣の嵐が吹きつけ、周りをめちゃくちゃに破壊した。
しかし、私は二本の剣だけでそのすべてを受け流していた。
「くっ……!」
追い詰めているはずのジェフィスが眉をひそめた。確かに速度で私をリードしているのに、私に一度も剣が届かないのが焦るだろう。
彼の特性は『加速』。その名の通り、加速度を恐ろしいほど増幅させる。実際、彼はある程度の騎士さえついていけない速度を持った私を、むしろ速度で圧倒していた。
それにもかかわらず、私は彼のすべての攻撃を問題なく払っていた。
***
まるで壁を相手にしているようだ。
そんな気がするほど、テリアの防衛態勢はしっかりしていた。
僕、ジェフィスの能力は『加速』。速度において絶対的な利点を持つこの能力が通じなかったのは、これまでケイン殿下と姉君の二人だけ。
しかし、テリアはその二人とも違う。反則同然の能力で僕の『加速』に対処してしまうケイン殿下も、『冬天』の力で僕を鈍化させて速度という強みを鎮めてしまう姉君も、いわば僕の長所自体を抑える方式だ。
反面、テリアを相手には僕の速度を遺憾なく発揮している。そしてテリアは僕より遅い。それにもかかわらず彼女の剣は僕の剣を追い抜き、打ち返す技術はあまりにも洗練されていた。
……美しい。
徹底的に効率的でありながら、繊細で気品あふれる剣術。美しく気品のあるテリア自身と同じくらい、いや、それ以上に魅力的な剣だ。
その剣術に心を奪われていることを自覚した僕は、心を喚起するように歯を食いしばって剣を大きく振り回した。
――狂竜剣流〈竜の拳〉
ハンマーのような衝撃波を振り回した。
これは牽制。意図通りテリアが衝撃波を払った瞬間、魔力が爆発して彼女の姿勢を崩した。
その隙を狙って突き出す一撃。姉君にも一本を取ったことがある連係だ。
けれども.
――紫光技〈魔装作成〉
僕が一撃を放った時は、すでに紫色の魔力の刃が剣の進路を完璧に遮断していた。
「くっ……!」
強大なものでも、複雑なものでもない。それでも魔力を正確かつ効率的に使い、体勢が崩れた隙を見事に挽回してみせた。
本当にすごい。
そう思った時にはすでに、テリアの剣が神妙に動いて僕の剣を弾き飛ばした。
***
やっぱり未熟だね。
私が速度で負けているにもかかわらず、ジェフィスの連撃に完璧に対処できる理由。それは経験と技術の差だ。
血を吐くほど愚直に積み上げた鍛錬。そして数え切れないほどの模擬戦と魔物討伐戦の戦闘経験。
戦闘に臨みながら鋭い剣のように製錬された精神が、そのすべての過去を消化した。今の私はあえて『看破』特性を模写しなくても、生徒レベルの戦闘パターン程度は手に取るように予測できる。
それにジェフィスは速度が速いだけで、姿勢も行動も中途半端だ。もちろん生徒レベルはとっくに超えたレベルだけど、私が磨いた技術に比べるとはるかに足りない。
したがって、私はただジェフィスの剣路を予測し、最低限の動作で彼の剣を受け流すだけで、この程度の速度差はいくらでも消すことができる。
そしてこの一連の攻防を通じて、私はジェフィスの限界を十分に測定した。
「次に行きましょう」
――天空流〈日輪〉
剣先で魔力の輪を描く。
魔力の輪がまるで磁石のようにジェフィスの剣を勝手に誘導し、彼の剣を遠くへ弾き飛ばした。彼の姿勢が大きく崩れた。その空っぽの胴体に向かって、魔力をたっぷり込めた突きを放った。
――天空流〈流星撃ち〉
「うぐっ!?」
ジェフィスは『加速』で素早く体勢を戻し、重剣で〈流星撃ち〉を防いだ。しかし〈流星撃ち〉は重剣ごとにジェフィスを遠くへ吹き飛ばした。そして私は彼に向かって〈三日月描き〉を飛ばした。
ジェフィスは『加速』の力で斬撃を避けた。そして魔弾の弾幕を展開した。『加速』のおかげか、その魔弾の速度すらものすごく速かった。
――天空流〈ホシアメ〉百本を超える魔力剣を一斉に射出。ジェフィスの魔弾は瞬く間に消え、ジェフィス自身は〈ホシアメ〉を避けるために慌ただしく動かなければならなかった。
その短い瞬間、私は体の中心に魔力を集中させた。
全身に大量の魔力を循環させ、身体のあらゆる筋肉を極度に活性化。それで身体能力を爆発させる乱舞技を準備する。恐らくジェフィスは知らないだろう。この技は一時的にジェフィスの『加速』と並ぶレベルの速度を得る。
何の技か詳しくは分からないけど、魔力の流れを見れば見当はつくだろう。それで私はわざと誇示するようにゆっくりと魔力を動かした。〈ホシアメ〉の弾幕を全て避けたジェフィスが私を見て目を丸くした。
直後、ジェフィスが取った姿勢は、重剣を背後にして重心を下げたものだった。
私も知っている姿勢だ。強力な一撃を素早く連結するのに特化した狂竜剣流で、唯一連撃を繰り広げる乱舞技。狂竜剣流で最もジェフィスの特性とよく合う技だろう。
お互いを睨み合っていた私たちは次の瞬間、同時に地面を蹴って魔力を解放した。
――天空流〈月光蔓延〉
――狂竜剣流〈狂暴乱舞〉
閃光が世界を覆った。
その正体は無数の剣閃の束。あまりにも速く展開された魔力の斬撃の嵐が、まるで一つの巨大な光のように見えた。
わずか一瞬にして何度も魔力が衝突した。周辺一帯はすでに斬撃に切られ、魔力の爆発で壊れるなどめちゃくちゃだった。しかし広がっていく衝撃波さえ次の斬撃で切られ、再び爆発と衝撃波が起きて周りをさらに破壊した。
極限の乱舞が決着をつけるまでには三秒もかからなかった。
「く……うっ……!」
ジェフィスはうめき声を上げながらよろめいた。
めちゃくちゃになった地面の真ん中で、ジェフィスは全身に傷を負って血を流していた。……といっても、一つ一つは浅い傷にすぎないけれど。それでも数が尋常でないほど多い。
それでも重剣を握り直して姿勢を取る彼に向かって、私はすぐに飛び込んで剣を振り回した。ガキーンと音が大きく鳴り、彼の重剣が空を飛んだ。
私の剣は彼の首のすぐ前で止まった。
「もっとやりますの?」
私がそう尋ねると、ジェフィスは苦笑いして首を横に振った。
「その必要はなさそうですね。……僕の負けです」
―――――
読んでくださってありがとうございます!
面白かった! とか、これからも楽しみ! とお考えでしたら!
一個だけでもいいから、☆とフォローをくだされば嬉しいです! 力になります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます