新番組
渡貫とゐち
新番組
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新番組「企画丸投げバラエティ『カッコつけ』テリー」の台本を、専用ホームページにて先行公開します。
視聴者のみなさまに目を通していただき、『不快な表現・不適切な発言』などがありましたら、改善案やご要望を同ホームページにてご記入をお願い致します。
できる限り、寄せられたご要望に沿って台本を作っていくよう、スタッフ一同、まい進してまいります。みなさまと共に番組を作り、みなさまが心の底から楽しめる番組となることを祈っております――。
…
「――さて始まりました、新番組です! 新体験・企画丸投げバラエティですね……、こちらに台本があるんですが、事前に視聴者のみなさまに添削してもらったものです。なので安心して見られる番組となっておりますので、みなさま、どうかチャンネルはそのままで!」
「あのー、視聴者が台本を作ってるなら、先が読めちゃってつまらないでしょ」
「はいダメですよそれ! 不適切です! 台本にないアドリブはやめてください。そうやって枠からはみ出るから炎上したりするんですよ! ……あなたも迂闊な発言は控えてくださいね!」
「えぇ、台本通りにやるんですかー? アドリブ入れたくなっちゃいますけどね……」
「絶対にダメです! ――最初はこちらのVTRのコーナーから参りましょう!
企画丸投げ……――視聴者からいただいた企画をスタッフで組み上げて、視聴者の方々に添削してもらいました」
「台本の他に、企画も?」
「はい、台本だけでなく、企画も添削されてますよー。
お子様も見てますからね、不意打ちで衝撃映像とか、心臓に悪いですから」
「衝撃映像は『衝撃映像まであと何秒』ってカウントダウンを入れてたでしょ」
「そこ、うるさいですよ。それでは視聴者が考えた企画は――これだぁ!!」
――番組終了後、「企画丸投げバラエティ『カッコつけ』テリー」は炎上した。
最初こそアドリブを入れていたが、番組が進んでいくと、司会者の二人は台本通りに淡々と番組を進行させていった。
視聴者が考えた企画も『要望に沿った形』で実現されていた。
……問題はなかったはずだが……しかし炎上したのだ。
『俺の意見が反映されていない』などのコメント。……全ての要望を拾えるわけではないので、こういったコメントはあってもおかしくはなかったが……、気になったのは他のコメントだ。
『ゲストの態度が最悪』
『司会者の偏見に吐き気がした』
『食べ物を粗末にするな!』
などなど……、コメントがどんどんと積み重なっていく。
でも、どうして? だって、視聴者発案の企画であり、台本だ……。
指摘された通りに直し、寄せられた要望に沿って内容を変えたはずなのに――
それでも批判される。
これではもう、打つ手なしだ。
なにをしたって炎上する。
視聴者に寄せたところで炎上するなら、好き勝手にやっても同じじゃないか?
―― 完 ――
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