第4話 真の姿と真の力
「グガァァァァァァァァァァ!!!」
俺を襲おうとしていたファイアーウルフはさらにでかい狼の鳴き声ですっかり怖気付いてしまっていた。
「こいつらのボスじゃないのか...?」
でもそんなこと関係ない。結局あんなにでかいやつから逃げきれることなんてもう不可能だろう。
今度こそ本当に...ん?
俺は自分のズボンのポケットが光っていることに気づいた。
「なんだ...これ?」
取り出して見てみるとそれは前のクエストで拾った紫色の石だった。
俺が右手に乗せて見ているとでかい狼も光る石を見つめだした。
ドダーン!ドダーン!
でかい狼が歩く度に地面が大きく揺れる。
「なんでこっちに来るんだよ!」
ファイアーウルフたちはすっかり怯えきって頭とお腹を地面にくっつけて姿勢を低くしている。
ドダーン!ドダーン!
でかい狼はこっちに歩き続け、そして俺の目の前で止まった。
逃げても無駄なら他に助かる方法を...!ってあれ...?
「お前...もしかして...カロスか...?」
俺はこのでかい狼がなぜかカロスだと思った。確信があるわけではないのだが直感的にこいつはカロスだと思った。
「そうでございます。我が主よ」
「やっぱりそうか!でもその姿は...は?」
「どう致しましたか?」
「ちょっと俺の頭の理解速度が追いつかない...。そんな姿になってる理由とか、沢山聞きたいことがあるんだがこれだけは絶対に聞いておきたい。なんで喋れるんだ?」
「多分その石のおかげでしょう」
「石?」
俺は右手に持つ紫色にひかる石を見た。
「この石のことか?」
「はい、その石です。その石は魔獣にさまざまな力を分け与えることができる石なのです。でも信頼している魔獣にしか力を分け与えることが出来ないのです」
これそんなにすごい石だったのか...。そこらへんに落ちてたんだがな。
「この石はマジックストーンと呼ばれているのです。そしてマジックストーンは魔獣の王が守ってきました」
「魔獣の王?」
「はい。魔獣の王は地下深くに住み、そこでこの石を守っていたのです」
「魔獣の王か...。それでなんで守られていた石がそこらへんの地面に転がっていたんだ?」
「それが...魔獣の王は何者かに殺されました」
「殺された!?王って呼ばれるくらいなんだから凄く強いんだろ?」
「もちろんです。そうなのですが...殺されたのです...」
魔獣の王と呼ばれるやつを殺せるほど実力を持ったやつか...
「その殺したやつの狙いはなんだったんだ?」
「多分ですが、マジックストーンを狙っていたのだと思います。この石を使い魔獣を悪用しようとしたのでしょう」
「でも落ちてたってことは奪えなかったってことだよな?」
「いや、地下からは奪われましたよ。でも魔獣の王に仕えていたものが奮闘したおかげで相手の手に渡るのを防ぐことができたのでしょう。王を殺したやつを結局捕えることができませんでしたが」
「そうか...」
じゃあこの石は元の場所に戻した方がいいな。
「ていうことで我が主よ。次は主が魔獣の王です」
「は?ちょっと待って。俺は全然強くないし、まずなんで俺が王になることになるのさ!」
「マジックストーンが紫色に輝いた、つまりそれは我が主が魔獣の王として認められたということです。でも魔獣の王と言ってもマジックストーンに認められただけで、他の魔獣にはまだ力を示せてないので今は名前だけですが...」
ま、まじかよ...
「でも俺、魔法もろくに使えないし剣術だって全く使えないんだぞ!?」
「そんなことは問題ありません。マジックストーンに魔獣の王として認められたものは、王としての力を得ることができます」
「どんな力だ?」
「魔獣の力が宿ります」
魔獣の力が宿る?
「我が主はもうすでに魔獣の力が宿っている状態です。しかし我も魔獣の力が宿ったらどうなるかわからないのです」
じゃあ魔獣の力とはどんなものなのか自分で見つけるしかないんだな。
「あのさ、魔獣の王というのは本当に名前だけなんだな?」
「はい」
そうか...じゃあ俺は、
「残念ながら魔獣の王なんていうでかい立場は俺には似合わない。だから俺は今日から魔獣使いになってやる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます