第11話 過去を思い出そう

「君たちを…皆殺しにするよ?」


リアの奴は…真顔でそう口にした。


リアの整った顔と相まってその光景に俺は震え上げる。恐怖によって。


これは覚悟を決めている顔だ…人を殺める。


その時俺は悟った、やはり貴族様は…俺たち平民とは違うのだと。


「リ、リアさん」


「え…リアちゃん…」


多分、この遺跡にあるものは俺たちが見てはいけないものだったのだろう。


はぁ…まあ結局こうなるよな、やはり貴族様と友達になろうだなんて土台無理な話だったのだ。


ゆえに


「約束、する、それでいいな」


問答無用で殺しにかからないあたりリアはまだ善良な方なのかもしれない。


「…うん」


リアは一言そう頷く。


俺は後ろを振りむき


「お前らも約束を…」


そう言おうとした瞬間。




『帝位候補者の敵意を確認…ガーディアンナンバー1「赤龍」起動』




なにかが…聞こえた。










『帝位候補者の敵意を確認…ガーディアンナンバー1「赤龍」起動』


突然、響き渡った声に私は驚く。


―ガチャ、ガチャ


「え!?」


「な何が?」


アキ達も混乱している、この音は…来る!彼らの後ろ、遺跡の奥から


「出でよ!聖剣!」


私は反射的に聖剣を召喚、そして彼らと謎の音の間に割り込む。


「え、リア…」


アキが驚いているが、無視して聖剣を横に構える。


そして―


―ガキィッン


聖剣となにかが接触し火花を上げる。。


く…重ッ!


なんとか踏ん張り、接触したそれを見る。


それは金属の腕だった。


「あ!遺跡の奥にあった…」


ソイが言う。


私の聖剣とつばぜり合いを演じているのは、奇妙な金属の等身大の人形。


その姿は全身真っ赤で金属光沢を放ちながらも、不気味なほどのっぺりとしていた


なるほど、例のロボットかぁ


それが動き出した?なぜ?


…しかし、おかしい、何故、私に攻撃できる!?


私の幸運は因果にすら干渉する、だから世界最強の魔王にすら突破できないのに!?


『不思議ですか?』


「え?」


なんかロボットが話しかけてきた。どういう?こいつしゃべれんの?


『私はインガ帝国のインペリアルキネティックガーディアン、ガーディアンナンバー1「赤龍」、帝国を守り、皇帝に忠誠を誓う物』


は?何言ってるの?このロボット?インガ帝国?インペリアルキネティックガーディアン?皇帝?


『その様子だと、私の話を理解できてないようですね帝位候補者、私は皇帝にのみ忠誠を誓う物、つまり皇帝を守るため、インガ皇族が持つ因果律干渉能力に耐性を持っているわけです』


なんだかわけがわからない。だが…


どうやらこのロボット、私の幸運を突破できる能力を持っているらしい。


『そして私は理解できません帝位候補者、なぜ知ってはいけない秘密を知った「偽人」を庇うのですか、あなたは彼らを始末しようとしていたのでは?』


「…ただ脅していただけよ」


『なぜ?彼らは我ら人の敵、いまや地上を支配する「偽人」の子供です、情けを掛ける必要はありません』


「なんだかわからないのは私だよ…」


ホントにわからない、何言ってんのこいつって感じ、地上を支配する「偽人」?


会話が通じている様で通じていない連中はほんとにイライラする。


でも…


「とにかく、この子たちは殺させないよ」


覚悟を決める。


ああ…そうだ。


例え2日の交流だとしても、殺すと脅しをかけていようとも、無理やり友達になったとしても…ふふ、我ながらひどいな。


でも…彼らは初めてのこの世界でできた「友達」だった!


だからすでに彼らに嫌われていようと…そもそもなんとも思われていなかったとしても、最初から嫌われていたとしても…。


例え彼らが死んだ方が私にとって都合が良いとしても…。


これは明らかな偽善、いや詭弁…でも


絶対に殺させない。


『ふむ、まあいいです、私には皇帝以外の皇族を制圧する権限があります、帝国に背くのであれば最悪処分しても問題ありません』


そういって戦闘態勢を取るロボット


『どうやらこの時代の皇族は歴史の真実を知らないようですね…制圧した後に教育して差し上げましょう、生きていたら』


「黙って!」


私は話が通じない上に融通の利かない、馬鹿で無能な「私」のような奴が…
















―教授、私この大学の大学院の研究室に入ろうと思いまして!―


―…確かに君なら入れるでしょう、しかしやめておきなさい―


―なぜ?―


―正直に言いますと、その研究室はあまり評判が良ろしくない―


―だ、大丈夫です!私この研究がしたいんです!―


―だからこそやめなさい、言葉悪く言うと…「搾取」されますよ…君はきっと今までの人生で躓いたことがないのでしょう…小さなときには躓くのもいい経験なるかもしれません、しかし大人になっての躓きは人生に致命傷を与えますよ―


―か、覚悟の上です!―


―…はぁ―














「大っ嫌いなんだ!」




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