空き缶

 吸い殻と灰で一杯になった缶を捨て、自販機で新しいジュースを買う。


 頭がぼーっとする……何も考えられない……朝から働きっぱなしのうえに徹夜明けなら無理もないな……取り敢えずカーテンと窓を開けよう。


 風が心地よい。俺は缶の中身を一気に飲み干し、机の上に置いた。


 ああ……朝の陽を眺めながらのトマトジュースは最高だ。頭もシャキッとしてきた。


 そうして自分が吸血鬼だった事を思い出した時、灰になった体は風に舞い、空き缶の中に入った。



 (了)


初稿:SSG 2021/01/22



 

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