第6話 探知系技術を使うメイドさん

 俺のコレクション達が仕分けられ涙目でそれをみているとサキが扉の方に目を向けた。


「おや。誰か来たようですね。しかしこの足音。何かの配達員でしょうか? 」

「……俺には全く何も聞こえないんだが? 」

「残念ご主人様に聞こえなくても、この私のメイサーチにきちんと引っかかっております」

「なんだよそのメイサーチっていうのは」

「その名の通り「メイド」の「サーチ」。つまり誰かが来るとわかるというメイドスキルでございます」

「そんなスキルがあってたまるか! 」


 ツッコんんだその時ピンポーンと音が鳴った。

 マ、マジか……。なにこれ怖い。

 しかし――。


「隣の部屋からですね」

「俺の部屋じゃないな」

「私の部屋ですね」

「そっか。サキの部屋か……。ってサキは隣の部屋に住んでるのか?! 」

「今日からですが」


 ピンポーン。


「言いたいことは山ほどあるが……。出てやってくれ。流石に配達員が可哀かわいそうだ」

「ありがとうございます。では少しお時間を頂きます」


 そう言った瞬間扉が開き、消えるようにサキがいなくなった。

 最早忍者では?


 彼女の移動速度に疑問を持ちながらもいつの間にか閉じた扉の向こうを見る。

 隣だったのか。案外「隣の人がメイドプレイ」というのは間違いではなかったようだ。「プレイ」ではなく本物だったが。


 コンコンコン。


「ん? 誰……あ、いやサキか」


 はい、と扉の向こうに向けて言いながら扉の方へ移動し開ける。

 するとそこには案の定うちのメイドが目に入った。


「ご主人様。申し訳ないのですが、今日もう少しお時間を頂けませんでしょうか? 」


 ブーンとトラックの音がする中サキがそう言った。


「あぁ……。引っ越しか」

「ええ。少しばかし荷物が多いようで」


 と廊下の向こうを見下ろした。

 俺も靴をいて下を見る。

 そこには一台の大型トラックがあった。


「……あれ全部? 」

「はい。色々な道具が必要になるので」

「メイドをするのにあんなに必要なのか? 俺の時よりも一回り大きなトラックに見えるが」


 すると隣から壮絶そうぜつな溜息が聞こえてきた。

 彼女の方を向くとサキがまゆひそめている。


「ご主人様。あぁ残念ご主人様。私サキはメイドであると同時に婚約者でもあり女性でございます。女性には、女性に必要な道具というものがあり男性のそれとは違うのですよ」


 ズキッ!!!


 む、胸が痛い。

 手すりを持ってうずくまる。そしてサキの追撃が来た。


「せめてデリカシーというものを身に着けていただけるとつかえる者として、婚約者として嬉しいのですが」

「こ、これから頑張ります」


 そう言いつつ立ち上がる。

 俺とサキが話していると「すみません」と女性の声が聞こえてきた。

 その方向を見ると一人の配達員がこっちを見ていた。


「持ってきたものなのですが……」

「今から運びます」


 そう言い配達員の方へ足を向けるサキ。


「俺も手伝おうか? 男手おとこでが必要だろ? 」


 数歩歩いてこちらを振り向いた。

 俺がそう言い手すりの向こうを指さすと、彼女は可愛らしい口を開く。


「流石にご主人様にそれを――」


 と言いかけた所でサキは顎に手をやり下を向く。

 少し間を空け、彼女は俺を見た。


「本来はあるじたるともゆき様に手伝ってもらうのは如何いかがなものかと思うのですが、今回はお願いします」

「おう。任せておけ」

「ではお願いします」


 そう言い深くお辞儀をした。

 俺が「いいよ」というと顔を上げて一緒に配達員の所へ。

 エレベーターで下に降り、配達員について行く。

 ガラスの扉が開き、エントランスを抜けて大型トラックの元へ。


 ん? ちょっと待て。


「何で配達員さん中に入れたんだ? サキは自分の部屋にいなかったのに」


 思いついたことを呟くと二人がピタリと止まって、振り向く。

 彼女達はニタァと怪しい笑みを浮かべて俺を見た。


「……これだからさっしの良い学生は嫌いだよ」

「この世の中には知らない方が良い事が多いのですよ。ご主人様」


 二人はそう言うと反転してトラックの方へ再度足を進めるのであった。


 え、なに。もしかしてこの配達員。サキと同類?


 ———

 後書き


 こここまで読んでいただきありがとうございます!!!


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