026 呪いの人形
ある日私は人形に出会った
それは玩具屋でというわけではない
私が人形と出会ったのはゴミ捨て場である
ゴミ捨て場でボロボロの人形が私を見上げていたのである
見上げていたというのは比喩ではなく人形の首が上を向いていたのだ
目と目が合う
普通に考えるのであるならこれは呪いの人形であろう
髪が伸びたり捨てても戻ってきたりするあれである
だが私はそんな霊的なものは全く信じていない
それはそれとして人形は私を見上げているのである
まるで私に持って帰ってくれと言っているように
しかし私はその人形を持って帰らなかった
目と目が合った人形をいちいち持って帰っていたら私の家は人形屋敷になってしまうからだ
だが行く道があれば帰る道もある
つまり毎日二回人形と目が合うのだ
しかしある日それは終わりを告げる
人形が下を向いていたのだ
誰かがその目線に耐えかねて下を向かせたのだろう
だから私は人形の頭を動かして上を向かせたのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます