023 光のない道

 私が通る道にとにかく暗い道がある

 そこはいわゆる裏道であり家もなにもない自然に囲まれた川沿いの道であった

 さらに言うならくぼみのようになっている道である

 だから本当に真っ暗なのである

 まさに光のない道というわけだ

 しかし実のところ人通りは多い

 その理由はいうまでもなく便利な道であるから

 だからスマホのライトで照らしている人も多く私もその一人であった

 しかしその日私はスマホの充電を切らしてしまったのである

 道の手前に来るまでそれに気が付かなかったため私は少し悩んだがその光のない道を通ってしまうことにした

 時間にすれば五分もかからない道である

 ゆっくりと進めばいいだろう

 そう思い私は歩いて行ったのだが

 誰かが横を通ったのだ

 直前まで私は全く気が付かなかった

 だが間違いなく横を誰かが通ったのだ

 いくら真っ暗でも正面からくる人間に気が付かないということがあるのだろうか

 私は不思議に思い振り向く

 やはりそこには誰もいなかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る