020 あちら側

 これは私が子供の頃の話である

 私の家には庭がある

 その庭は全てうちのものなのに

 ある場所に行くと母がしきりに言うのだ

 こちらから向こうへ行ってはいけないよと

 そこはなんの変哲もない場所である

 何かがあるわけでもなくただ端の方なので行くことがないというだけの場所である

 しかし母がしきりに行くなと言うので子供の頃の私の好奇心は刺激されてしまったのだ

 ある日私はそこに行った

 だが何もなかったのである

 しばらくそこにいた私だったがいつしか飽きて家へと戻っていった

 そしてその後も特別な事はなく日々を過ごした

 ただやはり

 ある場所に行くと母はしきりに言うのだ

 あちらから向こうへ行ってはいけないよと

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